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12月09日-05号

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  1. 岡山県議会 2009-12-09
    12月09日-05号


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    平成21年11月定例会          ◎ 平成21年11月岡山県議会定例会会議録  第5号〇 平成21年12月9日(水曜日)                  議  事  日  程                  午前10時30分開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時30分開議 ○副議長(小田圭一君)  これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○副議長(小田圭一君)  日程に入り,一般質問を行います。 19番増川英一君。   〔 19番 増川英一君 登壇 〕 ◆19番(増川英一君)  皆さん,おはようございます。 本日,最初に質問させていただきます公明党県議団の増川でございます。どうかよろしくお願いいたします。 さて,私どもは,さきの衆議院選の結果を総括し,公明チーム3000をキャッチフレーズに,全国3,000人の地方議員,国会議員のネットワークを生かし,国民の一番近くで動く,働くを合い言葉に,国民の皆さんの生の声を受けとめ,それぞれの立場で,さらに行政に伝える取り組みを行っております。 知事におかれましても,先日来,議論されておりますが,選挙で選ばれた195万岡山県民の代表として,今後も県民の皆さんの生の声を堂々と,直接,国にお伝えいただきたいと思います。 それでは,県政の課題の中で,本日は安心・安全を中心に,身近な課題について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 まず初めに,消防防災ヘリについてお尋ねいたします。 いろいろと議論がありました消防防災ヘリ「きび」が,本年10月26日から運用がスタートしました。就航式で知事は,「県財政は厳しいが,県民の安全・安心は確保しなければならない。機敏に迅速に活動することを約束する」と決意のごあいさつがあったとのことでございます。運航時間は,午前8時半から午後5時15分まで,視界が確保されれば,時間外も出動するとなっております。ぜひ,県民の生命を守る活躍を期待するものでございます。 そこで,以下,お伺いいたしますが,先般,消防防災ヘリドクターヘリを導入し,先進的な取り組みを行っている埼玉県でお話をお伺いしてきました。埼玉県では,消防防災ヘリが災害時に24時間出動するだけではなくて,ドクターヘリが飛べない早朝,夜間,ドクターヘリ的運航として,定点間飛行ではありますが,実施されていました。 さて,本県では,ドクターヘリにおいても運航時間の拡大を検討されているようですが,現状において,「きび」の夜間等の運航について,本県のお考えをお聞かせください。本県でも十二分な訓練や体制強化など,さまざまな課題がありますが,研究して取り組んではどうでしょうか,お尋ねいたします。 また,「きび」がドクターヘリ的運航を実施するに当たって,離着陸場が確保されている必要があると思われますが,県内で「きび」が離着陸できる箇所は何カ所あり,その中で夜間照明があるところは何カ所あるのでしょうか,あわせて質問いたします。 また,さらに実施できることとして,転院搬送などはできませんでしょうか。ほかに,現在検討している内容がありましたら,お示しください。 さらに,ドクターヘリは年間400回以上飛び,多くの方々の命を救っています。また,早い治療のため,後遺症の軽減など,多くの実績をつくっております。先日の我が会派の代表質問でも,御答弁で,救命率が40%向上している実績が紹介されました。 その意味から,ドクターヘリが出動中,新たな要請があった場合に,ドクターヘリにかわって「きび」に医師が同乗し,出動する,あるいは,患者搬送などの連携を図っていただきたいと思いますが,いかがでしょうか,お伺いいたします。 防災ヘリは災害のときとともに,十二分な安全体制をとった上で,最大限の活動で,県民の皆さんの安心・安全の確保に取り組んでもらい,導入してよかったと実感してもらえるように,どうかよろしくお願いいたします。 2番目に,緊急地震速報についてお尋ねいたします。 地震による強い揺れを事前に知らせる緊急地震速報一般向け提供が,2007年10月にスタートして約2年になります。導入前の平成19年に質問しましたが,現在はテレビやラジオだけではなく,携帯電話でも受信できる機種もふえており,多くの人たちが直ちに速報を見聞きできる環境が整いつつあります。 本県では,防災情報ネットワークでも市町村まで配信されています。今後は速報の精度向上や,市町村から住民等への情報伝達,さらには速報を聞いた後の対応の周知や訓練が課題になると思います。緊急地震速報は防災,減災に役立つことは間違いありませんし,強い揺れが来るまでのわずか数秒間が生死を分けることにもなりかねません。これまでの県の取り組み状況や,以前質問しました避難システムの導入や,今後取り組もうとしていた学校や医療,福祉施設の各施設などの緊急地震速報受信設備導入などはどうなりましたでしょうか,総務部長にお伺いいたします。 東南海地震の発生予測が60から70%とされている現在,しっかりと対応し,防災,減災を進めていただきたいと思います。 3番目に,脳脊髄液減少症の支援についてお尋ねいたします。 この問題については,これまで各議員の御尽力がありました。2006年3月には,県議会で意見書が採択されました。私どもも取り組んでまいりましたが,前議会,吉田議員が質問した県ホームページへのアップにつきまして,今月1日に,診察される医療機関名の公表がアップされました。知事,当局を初め,御賛同いただきました県内の病院の各位に感謝を申し上げます。御関係の皆様も大変に喜ばれていらっしゃいます。 さて,その上で何点かお尋ねいたしますが,まず,改めて脳脊髄液減少症について,概要を申し述べます。 脳脊髄液減少症とは,交通事故,スポーツ障害,落下事故,暴力,その他で,頭部や全身への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れ続け,多様な症状が発現する病気です。症状は,頭痛,首や背中の痛み,腰痛,めまい,吐き気,視力低下,耳鳴り,思考力低下など,さまざまな症状が複合的にあらわれ,これまでの医療現場においては,この原因が特定されない場合が多かったことから,患者は,怠け病,あるいは精神的なものと判断され,肉体的,精神的苦痛はもとより,患者の家族等の苦労もはかり知れないものがございました。この疾病に対する検査法,治療法として,ブラッドパッチ療法の有用性も認められてきており,長年苦しんできた患者にとっては大きな光明となっていますが,治療法が完全に確立したと言える状況にはまだなく,患者の皆さんは大きな経済的負担を強いられており,医療保険適用などが求められております。現在,国の事業において,診療指針作成のための研究がなされており,今後,保険適用へ向けて大きく前進することを願っております。 先日,脳脊髄液減少症の治療の一つであるブラッドパッチ療法を先進的に行っている福山医療センターに伺ってきました。ちなみに,院長も,担当の先生も,岡山在住の方でいらっしゃいました。また,患者の方からもお話が直接お聞きできました。原因がわからなかった当時の苦しさや,怠け病と言われたり,理解されずにつらく,リストカットまでした経験などのお話や,医療機関を回ったときのお話など,さまざまな状況,お話を伺いました。そのお二人の患者さんも,倉敷,笠岡からの患者さんでしたが,実に岡山県から約100人の方が受診や治療を行われている実績や病院などの御苦労,取り組みを伺ってまいりました。 そこで,お尋ねいたします。 まず,このように岡山から多くの患者さんが行っています。そこで,岡山県としても,さらなる支援が求められますが,患者家族支援協会ホームページによりますと,他県でも,青森県,群馬県,兵庫県,島根県の4県には相談窓口が設置されており,こうした相談窓口を本県でも設置し,患者さんへの支援を行えないか,お伺いいたします。 さらに,県民の皆様への周知を図る取り組みはできませんでしょうか。例えば,県ホームページのトップページへの掲載なども効果的ではないかと考えますがいかがでしょうか,あわせて保健福祉部長にお尋ねいたします。 次に,今回はその中で,学校への周知と対応について伺います。 平成19年に,国から県に対して周知を求める通知が来て,県立学校市町村教育委員会への連絡について行っているとのことですが,なかなか学校現場での認識が広がっていないようでございます。現状と今後の積極的な御対応について,お示しください。 教育委員会主催学校保健主事,養護教諭の脳脊髄液減少症についての研修会を実施することはできませんでしょうか,教育長にお尋ねいたします。 といいますのも,学校でも子供たち,跳び箱を跳んだ際の落下の衝撃による損傷,あるいは,トランペットを吹いたときの何らかの状況で損傷し,脳脊髄液減少症になった事例など,学校現場では起こることもあるようでございます。このような状況があることから,学校への周知を図り,医療機関につながる取り組みが必要と思うのであります。よろしくお願いいたします。 4番目に,県立高等学校に,障害を持つ車いすを必要とする生徒のためのエレベーター設置についてお尋ねいたします。 この問題は,これまでも取り上げてきました。教育庁として,受験の際の配慮などをされていますが,その中で,このたびは,要望の一つであった,特別な理由を申請する申請書をホームページにも載せ,志願者の障害などの状況が書けるような様式の明示を行う前進をしていただき,御関係の方々からも大変に喜ばれています。今後も,さらなる御配慮をお願いします。 教育庁としても,こういった取り組みをされておられますが,現状の問題点として,頑張って県立高校に合格したにもかかわらず,保護者などの付き添いを求められて,対応ができずに,進学を辞退せざるを得ないような事例があります。現在でも,受験前の中学校との連絡相談の中で,入学後の付き添いを求められ,受験先を判断しなければならないような実態があり,進学,教育権の公平性から,エレベーターの設置を訴えてまいりました。 また,以前には,答弁でも,岡山県では昇降機で対応しているとも言われましたが,私も今ある昇降機に車いすで乗ってみましたが,とても怖く,気軽に昇降機でどうぞとは,言いがたい状況でした。クラスメートが操作するのもなかなか難しいと思いました。 さて,そういった中で,先日,全県的にエレベーター設置が進んでいる神奈川県内にある県立高等学校2校を見てまいりました。一校は学校改修時に障害者生徒用エレベーターを設置した学校と,もう一校は後づけでエレベーターを設置した学校の2校です。後づけが多いのですが,維持費なども含め,さまざまなお話を伺ってきました。神奈川県では,計画的に,高等学校の学区単位などで,障害を持つ生徒のためにエレベーターを設置してきています。見てきた川崎市内の高校では1基つけられていましたが,今後,その1基がとまったときのために,バックアップ用に後から増設できるスペースまでつくっていました。根本的にユニバーサルデザインを進めるのが当たり前,バリアフリーにしていくのが当然のこととの印象を強く受けてまいりました。 これまで,車いすを必要とする生徒のために,エレベーターの設置を求めてきましたが,御答弁では,バリアフリー化について進めたい意向は示されていますが,エレベーターについては直ちに設置が難しいとのことですが,それはエレベーターの設置は今後必要であるとの認識でよろしいでしょうか。それとも,必要ないとお考えでしょうか,お尋ねいたします。 また,もし将来的に必要とお考えであれば,今回策定中の岡山県教育振興基本計画の中で,施設整備としてユニバーサルデザイン化バリアフリー化をもっとうたい,エレベーター設置についても記述し,今後,先々に,予算要求にも取り組んでいくべきではないでしょうか。あわせて,教育長にお尋ねいたします。 また,戻りますが,神奈川県での取り組みについて,根拠にしているものの一つに,神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例があります。神奈川県ではこれまで,バリアフリー新法などの制定により改正されてきていますが,平成20年まで神奈川県福祉のまちづくり条例という名称でしたが,名前も,より実効性を持たせるために改正しておられました。 そこで,本県を見てみますと,本県でも,岡山県福祉のまちづくり条例を平成12年に制定し,バリアフリーまちづくりを進めることとされております。しかし,この中の目指すべき姿は同様ですが,同条例施行規則エレベーターの項目に整備基準が示されておりますが,この項の適用施設に,「教育施設を除く」と本県ではなっています。他県では少ないと思うのですが,なぜ教育施設は対象から外されているのか。当然,対象にすべきであり,むしろ積極的に取り組むべきではないかと思います。教育施設学校も基準の対象とし,バリアフリー化エレベーター設置を進めてもらいたいと思いますが,知事の御所見をお尋ねいたします。 さらに,これまでの議論を聞かれて,知事は,この障害を持つ生徒のためのエレベーターの設置をどうお考えでしょうか,御所見をお伺いいたします。 また前回,我が会派,高橋議員の質問で,近県の状況が示され,広島県や徳島県などでは多く設置,鳥取県や愛媛県では全く設置されていないとの御答弁でしたが,鳥取県などは,今後の改修の際には,エレベーター設置に取り組む意向のようでございます。 また,本県では,県立学校の新増築や改修時には,ユニバーサルデザインの観点も考慮しながら整備を行っているとのことですが,これまで,朝日高等学校天城高等学校の改修には,エレベーターは入りませんでした。今後は,学校再編のときや改修のときに,エレベーターの設置は考えられませんでしょうか。例えば,中高一貫校設置のため改修をする大安寺高等学校に設置は考えられませんでしょうか。あるいは,どこか1校をモデル校として設置することはできないでしょうか,あわせて教育長にお尋ねいたします。 保護者の皆さんの気持ちに立ち,さらには将来に向かって頑張ろうとしている子供たちに,受験に際して入学条件をつけずに,普通に受験を行えるようにしていただきたいのであります。まず,1基からの設置をお願いしたいと思います。 それでは,最後になります。学びの共同体について,以下,教育長にお伺いいたします。 本県では,不登校児童生徒の出現率が,全国平均より高い現状があることや,最近でも授業放棄している子供がふえている状況をよく耳にしますが,まず県内の不登校や授業放棄をしているなどの状況と取り組みについてお聞かせください。 さて,本年10月に,山陽新聞夕刊に,岡山市中学校校長会会長の森谷先生の記事が連載された中に,「学びの共同体」という記事があります。少し読みます。 「授業で学校を変える」は,学校が目指す理想とする目標である。平穏な日々が続く学校の勤務であれば,このようなことを意識することもなく,授業は当たり前のように,時間割りに従って行われていく。しかし,一生懸命,教材研究をし,授業に臨んでも,教室を飛び出したり,初めから授業放棄をしている子供たちがいる学校であれば,先生の苦労は大変である。しかも,教室の中の子供の学力保障は,担当の先生の責任でもある。幾ら注意をしても自分の席にじっと座ることのできない子供,基礎基本の学習が身についてなくて,学習に参加していない子供を束ねながらの授業になると,その苦労ははかり知れない。また,ほとんどの先生が,部活動や特別活動の生徒会活動や行事を通して学校に活力を与えようと,勤務時間を超えて頑張っている。しかし,それでも生徒を救えない学校が増加しているように思う。 そのような中,行き着いたのが,「すべての子供に居場所のある授業」「つながる先は教室」であるという考えである。そこから生まれた目標,「授業で学校を変える」は,すべての先生の本来の力を発揮しなければならない時間となる。部活動で成果を上げている先生も,生徒指導で学校を引っ張っている先生も,子育てで多忙な先生も,授業という共通の土俵に上がることができたのが協同学習である。中学校における最大の壁は,教科の壁であるが,この壁を越えて,先生たちが学び合い,授業で子供を語る。まさに「生徒指導の原点は授業である」の実践こそが,「授業で学校を変える」ことにつながるという記事でございます。 また,簡単に,ここで協同学習を説明しますと,男子,女子,混合4人の班を基本とする小グループで,質問,課題に対し,お互いに力を合わせ,助け合いながら学習を進めていく集団学習を言います。協同的な学習のために,お互いに顔を合わせて語り合い,継続して共同作業をすることが必須としています。実践している岡輝中学校区の取り組みを,保護者の立場からも実際に見させていただき,その状況の変化向上や,学力向上の大きな成果を見させていただきました。この中学校区では,ほかにも文科省から新しいタイプの学校運営のあり方に対する実践研究や,コミュニティスクール推進事業を受けたり,あるいは,有名になりましたシニアスクールや土曜寺子屋などなど,地域,PTA,また多くの方々との連携で,さまざまな取り組みを行っています。 そこで,お伺いいたしますが,公立における中高一貫教育など,学力向上に向けた多様な取り組みは大事ではありますが,そういった取り組みとともに,ぜひ中学校までの義務教育におけるすべての子供に居場所のある授業や,学力保障についてのお考えと,県教委としてのお取り組みをお聞かせください。 そして,さまざまな課題解決の手法の一つとしての協同学習について,県教委としても研究をされてはいかがでしょうか,お伺いいたします。 以上で質問を終わります。御清聴,大変にありがとうございました。 ○副議長(小田圭一君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  公明党の増川議員の質問にお答えいたします。 消防防災ヘリについての御質問であります。 夜間等の運航についてでありますが,消防防災ヘリの夜間運航に当たりましては,安全性の確保を初め,離着陸場への機器整備等,多くの課題がありますが,御指摘のとおり,埼玉県のように,定点間運航に限るなどによりまして,夜間の救急活動に取り組んでいる団体も数団体存するところであります。この夜間定点間運航に関しましても,操縦士や整備士,航空消防隊員等の配置や運航先となります拠点施設の運営体制の整備,夜間気象観測装置の設置等,ハード,ソフト,両面にわたる課題が存することから,県といたしましては,今後の「きび」の運航実績や,ドクターヘリの運航時間の拡大に関する川崎医科大学附属病院での検討状況等も踏まえながら,これらの課題につきまして研究をしてまいりたいと存じます。 なお,県内の「きび」の緊急離着陸場は,現在447カ所確保できておりまして,それらのうち,ヘリの夜間離着陸に必要な,風向灯や境界灯等の専用の夜間照明設備を設置しておりますのは,岡山赤十字病院など3カ所であると承知いたしております。 転院搬送等についてでありますが,遠隔地の高度医療機関で処置を行うため,患者を緊急に搬送する必要がある場合におきましては,市町村等の要請に基づき,消防防災ヘリにより転院搬送を行うことといたしております。 また,こうした転院搬送のほか,臓器搬送につきましても,真に緊急性があり,他の適切な搬送手段がない場合におきましては,県消防防災ヘリの活用が可能であると考えておりまして,社団法人日本臓器移植ネットワークとの間で,協力体制を整えているところであります。 ドクターヘリとの連携についてでありますが,医師の同乗するドクターヘリと,救助も可能な空飛ぶ救急車としての消防防災ヘリという,それぞれの特性を生かしながら,救急現場の具体的な状況や要請に応じ,相互の連携のもとで,効果的に運用することとしておりまして,ドクヘリ出動中の新たな救急搬送事案に対しましても,消防防災ヘリは対応することといたしております。さらに現在,消防防災ヘリドクヘリ的運用に向けて,岡山大学や川崎医科大学と協定の締結を進めているところでありまして,今後,消防防災ヘリとドクヘリとの合同訓練を実施するなどによりまして,全県的な救急医療体制の向上を目指し,一層の連携を図ってまいりたいと存じます。 次に,脳脊髄液減少症につきまして,相談窓口の設置についてでありますが,お話いただきました青森県など4県に確認いたしましたところ,そのうち3県では,県のホームページ医療機関名の公表を行うかわりに,患者等からの問い合わせに個別に対応しているとのことでありまして,また1県では,県のホームページ医療機関名を公表してはおりますが,特別の相談窓口は設置していないとのことでありました。本県では,県ホームページ医療機関名を公表いたしますとともに,患者等からの問い合わせにつきましても,ホームページ上に担当部署を明示するなどいたしまして,適切に対応しているところであります。 次に,県立高校のエレベーター設置につきまして,まず岡山県福祉のまちづくり条例についてでありますが,教育施設は12年の条例制定時には,いわゆるハートビル法エレベーター設置対象施設となっていなかったことも踏まえまして,生徒や職員等が助け合って,障害のある生徒等に必要な支援を行うということを前提に,各校の実情に応じて対応することとし,条例におきましても対象施設から除いたものであります。 その後,18年に制定されましたバリアフリー新法において,学校へのエレベーター設置が努力義務とされたことから,福祉のまちづくり条例における取り扱いについても,学校関係者等の意見も聞きながら検討してまいりたいと存じます。 県立学校エレベーター設置への所見についてでありますが,学校において,身体に障害のある生徒が安全で安心に学習でき,円滑に学校生活が送れる教育環境の整備を行うことは重要であると考えております。エレベーターの設置はそのための有効な手段でありまして,今後,各学校の実情,あるいは保護者など,関係者の意見も踏まえながら検討していくべき課題であると考えております。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  総務部長小川康則君。   〔 総務部長 小川康則君 登壇 〕 ◎総務部長(小川康則君)  お答えいたします。 緊急地震速報についてでありますが,このシステムは,大規模な地震に対する防災,減災に有効なものであり,県では,防災情報ネットワーク高度化事業によりまして,国から送信される地震速報等の緊急情報を受信し,瞬時に市町村や消防本部へ配信できるよう,昨年度末に整備を完了したところであります。さらに,市町村に対しては,本年度,国の経済危機対策として,直接衛星からも緊急地震速報等を受信できるよう,一層の整備が図られることとなっております。 市町村から学校,医療・福祉施設など,公共的施設や住民への緊急地震速報等の伝達についてでありますが,現在,既に5市町におきまして,光ファイバーや防災行政無線等を通じまして,瞬時に伝達できるシステムを運用しております。今後,新たに3町が同様のシステムを構築することとなっておるところでございます。今後とも,市町村と連携を図りながら,学校や医療・福祉施設を初め,各施設等が緊急地震速報を積極的に活用して,防災,減災につなげるよう,一層の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  保健福祉部長神ノ田昌博君。   〔 保健福祉部長 神ノ田昌博君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(神ノ田昌博君)  お答えいたします。 脳脊髄液減少症に関しまして,県民への周知についてでありますが,今月1日に,県のホームページに,脳脊髄液減少症に関するページを設け,診療等を行っている県内の医療機関名を公表いたしますとともに,疾病の概要や患者団体のリンク先等を掲載したところでありまして,今後とも,必要に応じて随時更新するなど,ホームページの充実に努めてまいりたいと考えております。 なお,トップページへの掲載につきましても,新着情報として掲載するなど,適切に対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  教育長門野八洲雄君。   〔 教育長 門野八洲雄君 登壇 〕 ◎教育長(門野八洲雄君)  公明党増川議員の質問にお答えする前に,一言おわびを申し上げます。 このたび,中学校教諭が脅迫の疑いで逮捕されるという事件が発生しました。本年度に入り,教職員による不祥事が相次いでおります。不祥事の再発防止に向けて,県下挙げて取り組みを行っているさなかに,こうした事件が起こりましたことは痛恨のきわみであり,被害に遭われた方はもとより,県民の皆様に心からおわびを申し上げます。 事件につきましては,現在,警察で捜査中でありまして,今後,事実確認を行った上で,厳正に対処してまいります。 なお,県教育委員会としましては,不祥事の再発防止に向けまして,具体的な取り組みを早急に行いたいと考えております。 それでは,質問にお答えさせていただきます。 まず,脳脊髄液減少症の学校への周知等についてでありますが,県教育委員会では,文部科学省からの通知を受け,脳脊髄液減少症への適切な対応を行うよう,平成19年6月に県立学校市町村教育委員会に対して周知を図ったところであります。現在,脳脊髄液減少症の生徒を把握し,症状に応じた対応を行っている学校もありますが,この病気について,認識が十分でない学校もあるのが現状であります。県教育委員会としましては,事故後,頭痛やめまい等の症状が見られる場合などには,医療機関の受診を保護者に促すなどの適切な対応ができるよう,今年度の養護教諭の研修会から指導を始めたところであります。今後,保健福祉部等,関係機関と連携を図りながら,研修会の充実に一層努めてまいりたいと考えております。 次に,県立高校へのエレベーター設置の必要性の認識等についてでありますが,身体に障害のある生徒が,できるだけ支障なく学校生活を送れるよう施設整備を進めることは大切であると考えておりまして,これまでも,そうした生徒の入学の際には,障害者用トイレやスロープを整備するなど,適宜バリアフリー化に努めてきたところであります。 エレベーターにつきましては,現状では,1基を除き設置していないところでありますが,身体に障害のある生徒が円滑に学校生活を送れるようにするための有効な手段の一つであり,今後,検討していくべき課題であると考えております。 また,岡山県教育振興基本計画の素案では,学校施設のユニバーサルデザイン化バリアフリー化について,特段の記述はしていないところでありますが,現在,パブリックコメントを行い,県民の皆様からの御意見等を募集しているところでありまして,今回いただいた御意見も踏まえながら,検討してまいりたいと考えております。 次に,改修時のエレベーター設置等についてでありますが,御指摘のように,岡山朝日高校や倉敷天城高校の改築に当たりましては,エレベーターは設置していないところでありますが,多目的トイレやスロープの設置など,各学校の実情に合わせてバリアフリー化を行っているところであります。校舎の新増築や改修時におけるエレベーター設置につきましては,ユニバーサルデザインバリアフリーの観点を踏まえた整備を行っていく上で,今後,検討していくべき課題と考えております。岡山大安寺高校への設置,あるいはモデル校としての設置というお話でありますが,厳しい財政状況も踏まえ,今後の整備計画の中で検討してまいりたいと考えております。 次に,不登校の状況等についてでありますが,平成20年度の本県の不登校児童生徒の出現率は,小学校0.46%,中学校3.11%,高等学校2.47%で,全国に比べて高い傾向にあるものの,いずれの校種でも,わずかではありますが,前年度に比べ減少してきているところであります。 お話の授業放棄につきましては,詳しい調査は行っておりませんが,中学校の中には,授業中に教室に入らず,校内を徘回する生徒などへの対応に苦慮している状況があることは承知しております。 不登校対策としましては,教員研修を初め,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用,不登校対策教員の配置,県内5カ所での教育相談などを行っているところであります。また,教室に入らない子供が授業に参加できるよう,子供の悩みを丁寧に聞くとともに,指導主事や経験豊富な退職校長を派遣し,校内体制を整備したり,一人一人にわかる授業を工夫するなど,学校を挙げて授業改善に取り組むよう指導しているところであります。今後も,市町村教育委員会と連携しながら,こうした取り組みの一層の充実を図り,不登校の解消や教室に入らない子供への対応に努めてまいりたいと考えております。 次に,すべての子供に居場所のある授業等についてでありますが,教員は授業で勝負すると言われるように,すべての子供が授業に参画し,学習内容が十分に身につくような授業づくりは,教員の使命であります。県教育委員会では,これまでも,県総合教育センターにおける研修の充実や指導主事を学校に派遣した校内研修の支援に努めておりまして,また効果的な習熟度別指導のあり方や,学び合う授業づくりのための指導のあり方等について,実践校を指定し,研究を行っているところであります。今後,これまでの取り組みを一層充実するとともに,実践校での成果を普及し,授業の中で,一人一人の子供が存在感を得られ,学習内容の確実な定着が図られるよう,市町村教育委員会と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 最後に,協同学習についてでありますが,グループで子供たちが意見を出し合って,考えたり,教え合ったりする学習は,学習意欲の向上や学習内容の理解,人間関係づくりに有効でありまして,これまでも各学校で子供の実態や学習課題に応じて,ペアやグループを組んでの学習にも取り組んできているところであります。今後も,グループ学習の形態の一つであるお話の協同学習についても研究し,一人一人の子供の学習意欲が高まる授業づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  19番増川英一君。   〔 19番 増川英一君 登壇 〕 ◆19番(増川英一君)  御答弁ありがとうございました。2点だけ再質問させていただきます。 前向きな御答弁も多くいただきました。ありがとうございました。エレベーターの設置なんですけれども,ぜひ今後の整備計画の中で,しっかり御検討いただきたいと思います。これは要望です。 それで,その条例に関して,やはりそういった整備を進めていく上での根拠になってくると思いますので,この条例に関して,努力義務ということだったんですが,ぜひとも対象にしていただきたいというふうに思います。もし,今わかる,把握している課題等ありましたら,何が課題なのか,どういった面が問題なのか,お知らせいただきたいと思います。ぜひ進めていただきたいと,対象に入れていただきたいということです。 それが一つと,それからもう一つは,脳脊髄液減少症なんですが,相談窓口ホームページにアップしていただきまして,本当にありがたく思っております。その上でなんですが,相談窓口の設置,問い合わせにはお答えできるようにしているということなんですけれども,これはよく知られた病気であれば,それでいいと思うんですが,質問の中にも書かせていただきましたが,病院を回っても,その病気なのかどうかわからないということで,まだまだ自分がその病気に該当するかどうか,その入り口の部分で悩んでいる方が多くいらっしゃいます。そういった意味で,やはり相談窓口という体制で,問い合わせ先があるのと,単なる問い合わせ先というのは,やはりその意義というのは違うと思います。ぜひ相談窓口という形で,まずは気軽に聞いて,そこから診療先で診てもらえるような,そういうような取り組みをしていただきたいというふうに思います。その意味で,再度相談窓口の設置について,質問をいたします。 以上2点,よろしくお願いします。 ○副議長(小田圭一君)  知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  再質問にお答えいたします。 福祉のまちづくり条例における取り扱いということでございますが,中四国各県を見ておりましても,このエレベーターの取り扱い,学校ということで,この条例の中に入れてる数は少ないところでございますが,それはやはり,施設の設置者に影響が及ぶということだろうと思います。かなり経費がかかります,エレベーターにつきましては。そういうことにおきまして,義務化するということはなかなか難しいということで,努力義務ということについて検討していかなきゃいけないとは思っておりまして,そういう立場で,私立学校を含めた学校関係者や市町村の意見というものも十分にお聞きしながら検討を進めてまいりたいと考えておりますので,御理解いただきたいと思います。 それから,脳脊髄液減少症に関しての相談窓口でございますが,先ほどこれも御答弁申し上げましたとおり,相談窓口,4県ということでございますが,実際は先ほど申し上げました御答弁のとおり,個別の,いわゆる特別の相談窓口といった形で設置してる例はないようでございます。県におきましては,先ほど申し上げましたとおり,このホームページの中で,担当の部署を明示しておりまして,そういったところにお問い合わせいただけますれば,丁寧に対応させていただきたいと考えておりますので,御理解いただきたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  26番西岡聖貴君。   〔 26番 西岡聖貴君 登壇 〕 ◆26番(西岡聖貴君)  さて,不況感が漂い,なかなか景気の回復が実感できない昨今です。テレビなどで国の事業仕分けの様子が報じられておりましたが,事業の要否がまず予算の削減ありきの視点でアプローチされているような気がして,見ているほうもなかなか元気が出ません。むしろ,今は不要不急とも思える事業が,長期的視点に立てば,きっと効果が出てくる,そんなゆとりを持った考えが,今の苦しいときだからこそ,求められているような気がしております。それは,文化,教育などの分野にも当てはまります。無駄だから切るというのではなく,いわば将来の日本,また岡山県に対する先行投資と考えて,これからの予算編成に当たっていただきたいと,強く願うものであります。この際,知事に,国の事業仕分けの様子を踏まえた,本県の予算編成に当たってのお考えをお伺いいたします。 さて,今こそ長期的視点に立った,ゆとりを持った考えが求められていると言いましたが,その一つが文化であり,また歴史に対する投資です。かねてから私は,東備地域の観光振興などの重要性について質問してまいりましたが,今回は歴史観光について質問させていただきます。 先月21日に,城下町岡山の基礎づくりをした宇喜多秀家の功績を広めるイベントが岡山城で開催され,多くの人々でにぎわったと報じられました。とりわけ,歴史好きの女性,いわゆる歴女が県外からも集まったというニュースには驚かれた人も多かったのではないかと思います。知恵蔵2009の解説によりますと,歴女とは,歴史好き,歴史ファンの女性を示す略語,歴史そのものというより,歴史に登場する特定の人物や人間関係に強い興味を持ち,まるで俳優やアイドルの追っかけのように,ゆかりの地を訪ねたり,関連グッズや書籍を買い求めたりする10代から20代の若い女性が多いのが特徴。若手人気俳優が多く出演するNHK大河ドラマ「天地人」の放送が始まり,またアニメ「戦国BASARA」のテレビ放送の影響などで,歴女ブームが一気に爆発したとあります。注目すべきは,歴女は,信長や秀吉,家康,あるいは坂本龍馬など,これまで取り上げられてきたエース級の人物よりも,さきのテレビ「天地人」で言いますと,直江兼続などのわき役に興味を持つ傾向があり,真田幸村なども人気が高いようです。知る人ぞ知るの世界でもありましょうが,歴女たちは書籍やグッズなどの購入だけでなく,歴史好きが集まる会場に出かけ,そして,あこがれの武将に関する地域へ旅行に出かけることが多いそうであります。ことし2月の日経新聞の記事によりますと,こうした歴女の市場は700億円にも上るそうであります。恐らく,さきの宇喜多秀家イベントでも,相当の効果があったことと思われます。 一方,出版不況の中で着実に部数を伸ばしている歴史雑誌がPHP研究所の月刊誌「歴史街道」で,創刊時から比べると,最近では小中学生の読者もおり,また女性読者も全体の約4割を占めるそうです。編集長は,「確かに歴女が好むとされる戦国武将特集は人気があるが,日露戦争や太平洋戦争といった,近現代史にも高い関心が寄せられる。性別にかかわらず,全力で苦難に立ち向かっていった人間像を知ることは,いつの時代も普遍的な欲求なのではないか」と分析されているそうであります。そういえば,NHKで放映された「白洲次郎」や「坂の上の雲」で取り上げられる秋山好古・真之兄弟なども,そうした時代を代表する人物です。 この点では,本県にも戦国時代の武将の草分けの北条早雲が備中荏原で生まれています。江戸時代には津田永忠,山田方谷はもとより,熊沢蕃山や小堀遠州などの活躍した足跡も残っております。また,津山にはすぐれた洋学者が数多く出ております。彼らはその時代に,まさしく全力で苦難に立ち向かい,時代を駆け抜けていったと思います。こうした人物を掘り起こし,県内外に情報発信していく,それが観光振興にもつながるのではないかと考えますが,いかがでしょうか,知事の御所見をお伺いいたします。 次に,今回初めて開催された宇喜多秀家のイベントは,岡山商工会議所の会員企業などでつくる,うきうきクラブが中心になったそうでありますが,来年は国民文化祭が開催されます。国民文化祭は観光振興にもつながりますので,来年の宇喜多秀家イベントを国民文化祭の応援事業と位置づけ,国民文化祭と連携し,多くの観光客を岡山に呼び込んでいただきたいと考えますが,いかがでしょうか,産業労働部長にお伺いいたします。 次に,国際交流,とりわけ韓国との友好交流についてであります。 このほど県は,韓国・慶尚南道と友好交流協定を締結されました。早速,10月下旬には,慶尚南道から中高生たちが本県を訪れ,岡山の高校生との意見交換のほか,倉敷美観地区や牛窓なども訪問されたそうであります。まことに結構なことでありますが,協定の締結はあくまでも通過点であります。今回の教育交流を初め,産業,観光,文化など,さまざまな分野で本腰で取り組む必要があります。今後,県ではどのような友好交流を企画されていますか,お伺いいたします。 次に,来年の国民文化祭では,民間レベルでは,日韓交流美術展なども企画されているようでありますが,例えば,県が友好交流を締結されている韓国や中国,インドなどの舞踊団や音楽グループなどを県が主体となって国民文化祭に招聘し,文化交流を深めることが重要と考えますが,いかがでしょうか,知事にお伺いいたします。 次は,県のごみ処理広域化計画についてお伺いいたします。 県では,平成10年3月に,県下を6ブロックに分け,38の施設を8つの施設に集約する岡山県ごみ処理広域化計画が策定されました。また,平成19年3月には,市町村合併に伴い,広域ブロックと市町村区域の間に不整合が生じたことから,ブロック割りを見直し,新岡山県ごみ処理広域化計画が策定されました。そもそも,この計画は,市町村が行う一般廃棄物のごみ処理について,ダイオキシン類削減対策として,全連続炉で処理能力が大きくなるほど処理機能が安定し,ダイオキシン類の排出量が低減することや,廃棄物の排出抑制やリサイクルの推進を広域的に実施することで,効率的な減量化,リサイクルの推進が図れること,また建設費等,経済性から見てもスケールメリットはあり,効率的なエネルギーの回収も可能となることから,広域的な発想が出てきたものと理解しております。また,国の循環型社会形成推進交付金の対象となる人口5万人以上,または面積400キロ平米という要件にも合致したものであります。 ところが,昨年12月1日に知事の許可がおり,組合を設立した備前ブロックにおいては,10月に備前市と瀬戸内市が脱退するとの表明がありました。両市の脱退表明については,それぞれ抱える問題はあろうかと思います。それに対して,私がコメントする立場にございませんが,理由の一つに,既存のごみ処理施設の延命化を図り,引き続き利用していくということを聞いております。このたび,一般廃棄物処理施設の長寿命化の促進についてという文書が環境省から出され,県を通して市町村に届いております。その内容は,既存の社会資本ストックの有効利用を図る廃棄物処理施設の長寿命化を掲げ,施設の計画的かつ効率的な維持管理や更新を推進することとしており,あわせて,新たに今年度から支援を開始した施設の長寿命化を図るための計画の策定事業に加え,この計画を策定した廃棄物処理施設における基幹的設備の改良事業を交付金事業とすることを予算要求しているというものです。 そこで,まずお伺いいたしますが,私も先ほど申しましたように,ごみ処理の広域化の理念や必要性については理解しているつもりですが,このような脱退事例が出ますと,このごみ処理広域化計画自体が市町村の抱えるごみ問題の解決に合致していないのではないか,あるいは市町村に計画の目的が十分に理解されていないのではないかというように感じざるを得ません。ごみ処理広域化計画は,将来の県の環境保全という大きな目標のために策定されたものですから,広域化の枠組みが崩れるということは,県計画自体の方針が揺らいでくることにもなりますがいかがでしょうか,知事にお伺いいたします。 また,環境省の考えは,ごみ処理広域化は安全・安心な施設の建設,経済的な施設の建設,効率的な維持管理にあるという目的に反し,ごみ処理問題の根本的な解決というより,施設の延命化により,問題の先送りをするにすぎないのではないかと思えます。この一般廃棄物処理施設の長寿命化事業への安易な取り組みは,県が推進するごみ処理広域化計画に支障を及ぼすのではないかと思いますが,知事はどのようにお考えか,お尋ねいたします。 次に,ごみ処理広域化計画推進のための支援等についてお尋ねいたします。 県のごみ処理広域化計画には,「建設時期が異なる施設を集約化するのは非常に困難と思われますが」というようなQ&Aが出ており,その回答として,「既存施設の更新時期が大きく異なる場合は,住民の理解,協力を得て,円滑な措置が講じられるよう努めることが必要である。また,従来の収集処理方式を変更し,新しいシステムへ移行する場合には,多大な労力を要することがある。さらに,市町村,県が一体となって連携し,協力し合う必要がある」というような答えが書かれております。広域ブロックを設定するに当たって,それぞれの市町村の既存施設の建設年次が異なることや,収集処理方式が異なることを前提としていると理解しております。新ごみ処理広域化計画の実施に向け,積極的に市町村間の調整,計画推進への支援,進行管理,助言及び技術的支援を行うという県の役割がありますが,これは広域化へ向けて,一部事務組合が設立するまでの支援ではなく,組合が設立された後の積極的支援をも含んでいると私は理解しております。脱退という事態を起こさないためにも,県の積極的な支援,あるいは関与が必要ではないでしょうか。今後,具体的にどのような取り組みをされるのか,お伺いいたします。 次に,国の循環型社会形成推進交付金の交付要件を満たさない市町村が,他の市町村の広域ブロックからの脱退により取り残された場合,県としてはどのような支援が可能なのか,お尋ねいたします。 次は,くだもの王国おかやまの基盤強化についてお伺いいたします。 さて,御承知のとおり,本県は温暖な気候に恵まれ,くだもの王国として全国にその名を知られ,県下各地で高品質な果物の生産が行われています。マスカット,白桃,ピオーネなど,岡山を代表する果物は,香り,味,形,色合いなど,どれをとっても申し分なく,芸術品と言ってもいいほどであり,県民として大きな誇りであります。しかし,これらの果物も,自然に生まれたのではなく,そこには温暖な気候に加え,品種開発や栽培技術の確立,販路開拓などに向けた先人の長年にわたる,たゆまぬ努力や熱意により,現在のくだもの王国が築かれたものであります。 しかし,近年の景気低迷や産地間競争の激化等で,本県の誇る高級果物の先行きは必ずしも明るいものではなく,その地位がいつまでも安泰とは限りません。先人の業績を受け継ぎ,くだもの王国おかやまの地位を将来に引き継いでいくためには,県を初め,関係者がフロンティア精神を持ち,常に新たな視点で消費者ニーズに合った品種の開発や,生産者,流通業者への支援など,積極的な取り組みが必要と考えます。 そこで,まずお尋ねしますが,くだもの王国の維持発展に向け,夢白桃などの次世代フルーツや新たな品種の生産振興も含め,今後どのように取り組むのか,知事にお尋ねいたします。 次に,果樹産地の維持発展を図るためには,次代を背負う担い手の確保,育成が不可欠ですが,これまでの実績と今後の取り組みについて,農林水産部長にお尋ねいたします。 次に,近年,地球温暖化等による気象変動や天候不良などで,桃の出荷時期のおくれや品質が安定しないなど,果樹栽培への影響が出ていると聞きます。気象変動や天候不順などに対応できる新品種の開発や栽培技術の確立等が必要と思いますが,そのためにも,農業試験場における試験研究は重要であります。現在の研究の状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。 また,高レベルで多角的な研究を実施するためには,大学等と連携し,その知見を活用することが必要と考えますが,あわせて農林水産部長にお尋ねいたします。 最後に,耕作放棄地対策についてお伺いいたします。 昨年度,国が行った全国調査では,本県は耕作放棄地が全国で4番目に多いとの結果が出ています。耕作放棄地対策は一刻の猶予もならない喫緊の課題であり,県では,農業上,重要な地域の耕作放棄地の解消を目標として設定しています。耕作放棄地が発生する主な要因は,農家の高齢化や担い手不足にあると思われ,耕作放棄地の利活用を進めるためには,引受手となる農家等への支援が不可欠と考えますが,どのように進められるのか,知事にお尋ねいたします。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(小田圭一君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
    ◎知事(石井正弘君)  自由民主党の西岡議員の質問にお答えいたします。 まず,予算編成についてでありますが,国の事業仕分けでは,将来に向けた事業について,厳しい評価結果となったものもありまして,今後,国の予算へどのように反映されるのか,私といたしましても注視しているところであります。本県におきましては,昨年度,財政構造改革プランを取りまとめるに当たりましても,本県の将来の発展を見据え,安全・安心,子供の教育,環境保全,中四国における拠点性の向上など,中長期的な視点に立って,配慮すべき分野は配慮するとのスタンスで議論をしてきたところであります。そして,先般お示しいたしました本県の来年度予算の編成方針では,行財政構造改革に着実に取り組む一方で,新おかやま夢づくりプランに基づく政策重点指針に沿って,本県の今後の発展にとって優先的に取り組むべき喫緊の課題に対し,機動性を持って柔軟に対応することとしておりまして,このような考え方で予算編成を進めてまいりたいと存じます。 次に,歴史人物を活用した観光振興についてでありますが,県ではこれまで,先人ゆかりの地などを旅行コースとして紹介する,おかやま歴史の旅百選の編集を初め,津田永忠の偉業をたどるパンフレットの作成等,その時々の話題を集めた歴史人物を取り上げて広く情報発信をし,誘客促進につなげるなどの取り組みを行ってまいりました。また,県内各地におきましては,その地域が輩出した人物をテーマに,さまざまなイベントの開催や情報発信が行われておりまして,地域の観光振興に大いに役立っているところであります。 そのような中で,御質問の中の近年のいわゆる歴女を中心とする歴史ブームの到来は,本県の観光の魅力を強く情報発信できる,新たな契機になるものと期待しておりまして,県といたしましては,今後,歴史上の人物や地域で取り組んでいる,さまざまな関連イベント等を積極的に情報発信いたしまして,本県の観光振興に生かしてまいりたいと思います。 次に,韓国との友好交流についてでありますが,慶尚南道は地理的条件や産業構造など,本県と共通する特徴がありまして,こうした共通点等を生かしながら,市町村,国際交流関係団体,民間の方々と連携,協働いたしまして,慶尚南道で本県の魅力を発信する事業や,高校生の相互交流事業,来年秋の国民文化祭にあわせた文化交流事業など,相互理解と信頼関係が深まるような友好交流事業を実施したいと考えております。 国民文化祭への招聘についてでありますが,国民文化祭の事業の一つといたしまして,海外の文化団体等を招聘し,また日本の文化団体等を海外へ派遣し,相互交流により,互いの多様な文化を理解し合うという目的で行われる国際交流事業があります。県では,この事業の一環といたしまして,韓国の慶尚南道を初め,お話の友好交流協定を締結している国から,また市町村でもそれぞれの姉妹都市等から,その地域を代表する文化団体等に,国民文化祭への参加を依頼することとしておりまして,文化交流を深めることにより,相互理解を促進し,末永い友好関係を築いてまいりたいと存じます。 次に,ごみ処理広域化についてであります。 まず,県計画の方針についてでありますが,ごみ処理広域化計画は,お話のように,ダイオキシン類の削減,エネルギー利用の合理化促進等を図るという国の方針のもと,市町村の意向を踏まえた上で,ごみ処理広域化に向け,関係市町村が協議,検討するためのフレームを示したものであります。一般廃棄物の処理方策につきましては,まずは地元での論議を尽くし,広域化に当たりましては,関係市町村の主体的な協議の中で方向性を出していくということが基本であると考えております。県といたしましては,適正処理に向け,引き続き,助言,技術的支援等を行ってまいりたいと存じます。 施設の長寿命化事業の影響についてでありますが,国が今年度から交付金対象事業に加えました廃棄物処理施設における長寿命化計画策定支援事業,及び来年度予算概算要求に盛り込んだ基幹的設備の改良に対する支援事業は,厳しい財政状況の中,廃棄物処理施設の長寿命化を図るとともに,設備改良により温暖化対策に資することが目的であるとされておりまして,従来から推進している広域化計画とあわせて,効率的で適正な廃棄物処理を行おうとするものであると,このように理解しております。 組合設立後の支援等でありますが,県は,ごみ処理広域化計画における広域化推進方策に沿って,広域化を検討する市町村に対し,情報提供や技術的な助言を行いますとともに,地方公共団体である一部事務組合が設立されるまでの間は,進行状況を把握,管理し,市町村間の調整等に努めることとしております。一般廃棄物の処理は市町村の責務でありまして,組合設立後におきましては,法人格を有する地方公共団体として,主体的に方向性を打ち出していくことが求められておりますが,県といたしましても,適正処理に向けまして,引き続き助言,技術的支援等を行ってまいりたいと存じます。 国の交付要件を満たさない市町村への支援でありますが,お話のように,国の交付金の対象は,人口5万人以上,または面積400平方キロメートル以上の地域を構成する市町村とされておりますが,一部離島等の地域は例外として対象となっております。いずれにいたしましても,交付金につきましては,国が個別に広域化についての検討状況,計画されている施設の概要等を踏まえて判断するものでありまして,県といたしましては,具体的な相談があれば,権限を有しております国への橋渡しを行うなど,助言,技術的支援等を行ってまいりたいと存じます。 次に,くだもの王国おかやまに関し,今後の展開についてでありますが,くだもの王国おかやまを維持発展させるため,これまでピオーネなど高品質な果物の生産拡大を進めますとともに,首都圏等において積極的にPRいたしました結果,高い評価をいただいていると考えております。岡山ブランドの評価をさらに高めるためには,消費者ニーズにこたえる高品質な果物を安定的に供給していくということが重要でありまして,本県を代表する白桃やマスカット,ピオーネに加え,需要が低下した品種の改植等により,次世代フルーツといたしまして生産を振興しております夢白桃やオーロラブラックのほか,市場等で期待の高いシャインマスカットなど,新品種の導入を進めることとしております。こうした生産面での取り組みに加え,国内外でのトップセールスや岡山屋の展開等によりまして,消費者や流通業者へアピールするなど,総合的戦略的な取り組みを進めまして,くだもの王国おかやまの地位を将来に引き継いでまいりたいと存じます。 最後に,耕作放棄地対策についてでありますが,耕作放棄地が再生され,将来にわたって営農が継続されるためには,初期投資の軽減や引受手の確保,育成はもとより,地域に適した作物が生産されることが重要であると考えております。耕作放棄地の再生利用は,市町村が策定する解消計画に基づき進めるものでありますが,県といたしましても,従来の担い手育成対策に加えまして,今般の農地法等の改正によりまして営農が可能となった農協や参入要件が緩和される企業等も,新たな引受手として視野に入れながら,21おかやま農林水産プランに定める地域振興作物の生産拡大につながるような施策も検討してまいりたいと考えております。今後,市町村や関係団体との連携を一層強化いたしまして,国の耕作放棄地再生利用緊急対策など,さまざまな施策も活用しながら,引受手となります担い手の育成に努め,耕作放棄地の再生利用を進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  産業労働部長西本善夫君。   〔 産業労働部長 西本善夫君 登壇 〕 ◎産業労働部長(西本善夫君)  お答え申し上げます。 歴史観光につきまして,国民文化祭との連携についてでありますが,来年開催される,「あっ晴れ!おかやま国文祭」は,本県の観光の魅力を全国に発信できる絶好の機会になると考えておりまして,来県者に見どころや味,文化など,旅の楽しさを満喫していただけますよう,観光連盟や市町村等と連携し,温かくおもてなしする機運の醸成を図りますとともに,受け入れ体制の準備を進めてまいりたいと存じます。 お話にありました宇喜多秀家イベントにつきましては,主催者から,来年も開催すると聞いておりまして,集客力が高く,相乗効果も期待されますことから,国文祭の応援事業としての開催を主催者に働きかけてまいりたいと存じます。 答弁は以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  農林水産部長大森弘介君。   〔 農林水産部長 大森弘介君 登壇 〕 ◎農林水産部長(大森弘介君)  お答えいたします。 くだもの王国おかやまに関し,担い手の確保等についてでありますが,本県農業の柱である果樹産地を支える担い手につきまして,認定農業者数で見てみますと,20年度は809経営体と全体の24%を占め,過去10年で約200経営体,増加しております。また,毎年100名を超える新規就農者のうち,約4割の方が果樹経営に従事しておりまして,次代を担う新たな力が確実に育っているところであります。今後とも,産地関係者や市町村,関係団体と連携いたしまして,就農相談活動や技術習得研修等を実施し,新規就農者の確保に努めますとともに,農業普及指導センターによる栽培技術の指導や経営診断,農業士の指導,助言などのフォローアップ等を通じまして,意欲あふれる担い手を育成し,くだもの王国おかやまの維持発展を図ってまいりたいと存じます。 次に,試験研究の状況等についてでありますが,本県の果樹栽培においても,温暖化に伴う気象変動等により,桃の成熟期の不安定化,果肉障害や糖度低下,ブドウの休眠覚せいのおくれ等が発生しておりまして,こうした環境の変化に対応した品種や技術の開発がますます重要になっております。このため,農業試験場では現在,桃では,わせからおくてまでの多彩な品種開発,木の充実度合いに応じた施肥管理やマルチ栽培技術の確立,ブドウでは休眠度合いに応じた加温,保温調節技術の開発等に取り組んでおるところであります。お話の大学との連携につきましては,来年度,岡山大学と共同で,桃の成熟異常の原因究明と異常防止技術の研究を行うなど,今回の試験研究機関の集約化を機に,産学官連携を一層推進することとしておりまして,今後,外部知見のさらなる活用により,くだもの王国おかやまの基盤強化に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  22番吉田政司君。   〔 22番 吉田政司君 登壇 〕 ◆22番(吉田政司君)  それでは,通告に従いまして質問に入らせていただきます。 連日,国や地方の財政状況がよくない,税収が落ち込むなどの報道がなされております。昨日も,政府は,追加経済対策を閣議決定し,あわせて藤井蔵相は,一般会計税収が36兆9,000億円に下方修正になり,結果,国債の発行が過去最大の53兆5,000億円になる,63年ぶりの国債発行が税収を上回るという事態になりました。 私も,地方自治にかかわる者として,現在の事態を打開する何かヒントはないものかと思いまして,この秋に何カ所か財政に関する勉強会に参加してまいりました。公会計制度導入の課題についてですとか,地方財政の課題と制度改革への対応ですとか,また地方自治体の自立経営のあり方などでありました。ただ,そこでわかったことは,結局,お金がないということでありました。借金という過去の後処理もまだ決着しているわけでもないし,そのための時間とコストがかかり,そのことを念頭に置かなければならず,現状に制約されていることを避けて通れないということであります。むしろ,このような財政難の中でありながら,目の前の経済的危機に新たな投資が必要とされており,だれもがこのジレンマに悩んでいるところであります。そして,もう一つ印象に残ったことは,ある講師が言っておられましたが,この厳しい財政状況の中で,「打開の可能性は,中山間の田舎に残されているのではないか」という言葉でございました。このような中にありまして,いま一度,本当に県として何ができるのか,県は何をしなければならないかを考えてみなければなりません。 先日の地方六団体主催の地方分権推進全国会議でも,国に対して,地方への大胆な権限移譲と地方税財源の強化等を強く求めるアピール文が採択されました。地方として,当然これからも国と地方の役割分担を明確にしつつ,そのための適正な財源配分の改善を求めていかなければなりませんが,国にしろ,地方にしろ,収入のもとは国民であり,県民であり,同じであり,既に限界に来ているわけであります。少ないパイの分け合いであり,ほとんど期待が持てないというのが実際ではないでしょうか。 世界的な景気低迷という状況とデフレ,円高での経済対策は,一義的には国債を発行してでも,国しか対策は立てられないと思います。その政策が有効であるということが前提でもちろんありますけれども,経済対策を盛り込んだ前政権の補正予算により,地方は随分助かったという記憶も,まだ新しいものであります。何か新しく県や市町村などの地方自治体が,財源を確保するためにできることは何かあるでしょうか,お尋ねいたします。 県では,財源を確保するために,新たな借金である地方債の発行が許されるのでしょうか,総務部長にお伺いします。 県において,国に頼る以外に,まとまった財源を,増税をしてまで確保できるのかどうか,あわせて総務部長にお伺いいたします。 私は新しいことを起こすのであれば,可能なことは,まず既に行っている事業をスクラップして,その分だけ新しいものを立ち上げるしかないように思います。そのためには,既存事業の関係者を説得することができるかどうかであり,大変厳しい作業になるわけでありまして,昨年の行財政改革のための4年かけての削減計画づくりには,本当に苦労したところであります。 そこで,このたび国が行った事業仕分けは,マニフェストの実現のために,実施すべき事業,すなわち,やりたい事業を先に掲げ,その財源確保のために事業仕分けをしたと理解しておりますが,順番が逆であるように思いました。しかも,思ったほど削減できなかったものでありますから,なおさらであります。しかし一方,いろいろな批判はあるものの,強引に削減しようとしたことは,先ほどの利害関係者への説明を考えると,選挙に勝った内閣だから可能だったのかもしれません。また,今回の事業仕分けでは,利害関係があろうがなかろうが,政策の違いにかかわらず,ある程度の評価できるものもあると思っております。具体的には,天下り,縦割り行政,埋蔵金と言われる,いわゆる行政の無駄と考えられる問題が明らかになったことについて,これはよかったと思います。今回の事業仕分けについて,今後,岡山県の事業をさらに見直す際の参考になるのかどうかをお伺いしたいと思います。 経済対策などは国に頼るしかなく,新しい借金はできない,まとまった財源はないとなると,一体今,何が岡山県にはできるのでありましょうか,また,しておくべきでしょうか。大変難しい問題で,私には今すぐには答えが見つからないのでありますが,あえて一つの取り組みとして考えられるのは,やはり協働社会を構築していくことではないかと思っています。 バブルが崩壊してからといいますか,特に20年,社会の精神面から来る変化には驚かされるものばかりであります。校内暴力と言われた時代から,いじめ,学級崩壊,オウム事件,酒鬼薔薇聖斗の神戸連続児童殺人事件,援助交際など,目に余る事件や社会現象が相次いでおり,一体世の中はどこに向かっているのかと思います。 しかし,これが,現代の豊かさを求めてきて,とりあえずなし遂げた成熟社会の後に来る必然であれば,何とか乗り越えなければなりませんし,これはお金では解決できる問題ではないかもしれません。お金では救い切れない社会にあっては,落ちこぼれていく人を救い上げる,支え合える,また温かい見守りのある社会の構築が急がれる気がしてなりません。私は,政治理念として,人間個人が自立できることを支援する社会を目指すべきと考えてきましたが,支援する社会そのものの自立を考えねばならないと思うようになりました。社会のコミュニティーの再構築は,政治や行政の問題ではないかもしれませんし,しかし,どこかが動き出さないと,取り返しのつかないことになるかもしれません。杞憂に終わればありがたいと思っております。 もちろん,大切なことはわかっていても,具体的な取り組みは大変難しいと思います。心根の問題でもあり,だれがやるのかということになると,どうしても他人任せになってまいります。他人のために行動しても,かえって責任を問われてしまう,こういった問題も起きる時代であります。嫌な時代でありますが,だからこそ取り組むべき問題ではないかと逆に思うわけであります。 例えば,その一例として,取り組む課題が協働と言われる行政と個人等が力を出し合って,何か事業を行うことではないかと思います。そこに単なる作業の分担ではなく,人の心も育っていくのではないでしょうか。少なくとも,昨今の子供の安全パトロールは,老人会の方々の力が社会に還元されている,本当にすばらしい例ではないかと思います。本当に心がこもった取り組みになっていると思います。新おかやま夢づくりプランが改訂されましたが,この中に,今私が申し上げたような視点があるのか,お伺いいたします。 また,この協働という概念は,時代の要請としてどのような位置づけ,意義を与えているのか,あわせてお伺いしたいと思います。 以下,中山間の問題,自殺対策なども社会のコミュニティーの充実という観点が大切になる問題ということで,関連してお伺いしたいと思います。 島根県の中山間地域研究センターに勉強に行ってまいりました。我が県からも1人職員が派遣されており,現地でお会いしましたが,元気いっぱいに頑張っておられました。そこで,地域研究グループによる研究概要報告2009を勉強してまいりました。耕作者の高齢化空洞化により,不耕作地の拡大と空き家などの虫食い的増加,住環境の悪化などで居住者が転出してしまい,農地,農家,家屋が使用不可能になるという地域コミュニティーのお決まりである崩壊。そして,これを防ぐために,島根県では,これらの課題として,新たなコミュニティー組織づくりを目指す中山間地域コミュニティー再生重点プロジェクトに取り組んでいます。小さくなり過ぎた集落を,より大きな集合体にくくり,ここに公民館,自治会,営農組織など,いろいろな分野の地域運営の組織リーダーをサポート,調整する地域マネジャーを配置するなどの取り組みを進めるというものであります。 これからの日本再生のかぎは田舎にあるのでは,との指摘を申し上げましたが,いまだに人のつながりが残っていることであります。もちろん,よしあしは当然あり,干渉する,してほしくない,田舎特有の他人を受け入れないなどの課題はあります。これをどう乗り越えていくかであります。しかも,最近は,限界団地と言われますように,この岡山市の中でも高齢化した社会の出現があることを,改めて気がつかされたわけであります。新たなコミュニティーの組織づくりは,決して中山間地域だけではなく,日本全体の課題になっていると思います。島根県の取り組みは,本県の集落機能再編・強化モデル事業を実施する上でも参考になると思いますが,御所見をお伺いいたします。 年間の自殺者が3万人を超え,しかも10年以上続いている,本当に深刻な課題になっております自殺対策について伺います。 NHKで先日,日本のこれから「自殺者3万人 命をどう守るか」との特集が放映されておりました。その内容が解決策にもつながりますので,若干紹介いたします。 初めに,自殺者の推移が完全失業率の変化とスライドしており,自殺と経済的悩み,すなわち倒産,借金,失業などによる失望が原因である。そこでは連帯保証人制度などが問題になっているとか,競争社会であり,企業がなかなか失業者の受け皿になっていないなどの議論がありました。そのような中で,最近政府が実施したハローワークでのワンストップサービスが紹介されておりました。これは住宅,健康,借金,法律問題などの担当者が,ハローワークに一堂に会し,生活再建のために必要な課題に対して,効率的に相談を受けたというものであります。しかし,この窓口も常時あるわけではなく,たらい回しになる相談事の窓口に,私たち議員がなるケースがよくあるわけでありますけれども,このようなワンストップサービスの実施ということも,以前から提案されてきていた問題でありました。ここでの問題は,この回数もさることながら,窓口に足を運べない人をどうするのかという問題が議論になっておりました。 これに関しまして,同じくNHKで放映されておりました英国におけるうつ病対策であります。英国では,がん,生活習慣病と並び,うつ病が国の三大疾患とされ,国家戦略として,うつ病対策が講じられており,相談窓口は電話などの相談を受けるだけではなく,訪問をする,いわゆるアウトリーチと言われておりますけども,その取り組みが成果を上げているそうであります。これも,うつ病による社会的経済損失を計算しての取り組みだそうであります。このうつ病に対しましても,医師からの日本の医療の仕組みから,問診と薬漬けになるという医療の範囲のみでは対応の見直しが提言されておりました。薬だけではなく,借金や人間関係が解決したら回復するといったケース,話もよくあると思います。 話は戻りますが,このように相談窓口にも行けない人もいることから,単なる役所による相談事業ではなく,地域社会が気づき,つながりという観点から,岩手県の久慈市の住民による対策が紹介されておりました。地域の保健師や民生委員が中心となり,地域を挙げて寄り添うことにより,本人の身近な支えを地域が担っていこうというものであります。 そこで,お伺いしますが,まず岡山県の自殺の現状をどのように把握し,分析されているのでしょうか。また,自殺対策として,岩手県のような取り組みをどう評価されているのか,以上,あわせまして保健福祉部長にお伺いいたします。 次に,相談等の充実ということについてでありますが,相談窓口で対応する相談員にはどのような研修を行っているのでしょうか。その内容をお伺いしたいと思います。 また,アウトリーチという,いわゆる訪問,出前の相談に取り組めないのか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。 最後に,県立高等学校再編整備方針についてお伺いします。 平成19年度から検討されてまいりました,真庭地域県立高等学校の再編整備方針が決定されました。10月21日に行われた最後の説明会では,年度末までに方向性を示すと言われたようですが,終了して1カ月で出た結果は,落合高校と久世高校は両校の募集を停止し,平成23年度に新しい高等学校を落合地区に開校するというものであります。この決定に対しまして,地元の関係者の方からの声でありますが,方針公表後の地元からのお尋ねに対する説明で,十分理解できないということについて,若干お伺いしたいと思います。 いわゆる設置場所については,「総合的に判断した」と説明されたそうでありますが,総合的とは具体的にはどういうことか教えてほしいというものでありました。まず,人口の集積など,今,久世の人口は増加しております。市役所の新庁舎も久世に建設中ですし,市役所のある久世が場所的にはふさわしいのではないかという声であります。また,交通の利便性の問題ですが,中鉄バス,備北バスの路線が9月末に廃止となり,真庭市が代替運行バスを走らせているのですが,現在の3路線とも終着は,新庁舎のできる真庭市役所になっております。勝山以北からの通学では,久世の乗りかえになり不便であります。この意味でも,久世のほうが総合的にふさわしいのではないかという意見であります。 以上のような観点から,久世がふさわしいという意見でありますけども,落合校地を新校の設置場所としたところの「総合的な判断」とはどういうことなのか,具体的に比較した説明を示していただきたいと思います。教育長にお伺いします。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  公明党の吉田議員の質問にお答えいたします。 まず,事業仕分けについてでありますが,県におきましては,昨年度,持続可能な行財政構造を確立するため,すべての事務事業について,事業仕分けと同じような観点から見直しを行い,パブリックコメントや市町村等との協議を経て,行革大綱2008として取りまとめ,その結果をすべて予算に反映しているところであります。このように,事業の全般的な見直しは既に行ったところでありますが,今後とも,新たな事業の必要性等を判断し,また既存の事業を不断に見直ししていくという必要があると考えておりまして,その際におきましては,事業仕分けで重視されている情報公開や住民参加などの要素につきましても,十分取り込んでまいりたいと思います。 新おかやま夢づくりプランにおける協働の視点等についてでありますが,近年,地方分権型社会に向けて,地域が真に自立し,個性と魅力あふれる豊かな地域づくりに取り組むことが求められておりまして,また多様化,複雑化する行政ニーズに適切に対応していくためにも,県民,ボランティア,NPO,企業,大学など,さまざまな主体と行政とが目標を共有いたしまして,ともに力を合わせて活動するということが極めて重要であると考えております。このようなことから,私は,夢づくりプランにおきまして,自立と協働を掲げますとともに,コミュニティーの温かいつながりのある地域こそが,今後,目指すべき社会のモデルであるとして,従前よりお示ししているところであります。今後とも,プランに沿って,コミュニティーや,そこに暮らす人と人との心のつながりを大切にした協働の県政を積極的に進めてまいりたいと存じます。 中山間地域対策についてでありますが,お話のとおり,過疎化高齢化が進行している中山間地域では,地域コミュニティーの維持が重要な課題であるということから,本県では,集落機能再編・強化モデル事業を実施しておりまして,9カ所のモデル地域では,新たに設立した地域運営組織による多様な取り組みが進められ,一定の成果を上げているところであります。地域の自立的,持続的な運営のためには,課題解決に向けた事業の企画,実施へのアドバイスや,各種団体との連絡調整などを行う人材を運営組織に配置するということが重要であると考えておりまして,今後,議員御指摘の島根県の地域マネジャーの例も参考にしながら,地域運営のコーディネーターの育成に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  総務部長小川康則君。   〔 総務部長 小川康則君 登壇 〕 ◎総務部長(小川康則君)  お答えいたします。 税財源の確保のための新たな起債についてでありますが,地方財政制度におきましては,地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう,地方税や地方交付税,そして地方債など,必要な財源を地方財政計画を通じて保障する仕組みとなっておるところでございます。このうち,地方債につきましては,地方財政法におきまして,原則として,後年度にわたって効用があり,住民の負担の均衡を図ることが適当である施設の建設事業費等を対象としておりまして,それ以外は臨時財政対策債など,ごく限定されたもののみに発行が認められているところでございます。こうしたことから,これら以外の収支対策のための新たな起債,借り入れにつきましては,現行制度上は困難となっておるところでございます。 同じく,税財源確保のための増税についてでございますが,今し方御答弁いたしましたとおり,地方税は地方交付税,地方債とともに,地方団体が標準的な行政水準を確保するための主要な財源を構成するものとなっております。国の租税制度とともに,国民所得に対する租税の負担割合,国と地方の事務配分の状況,さらに地域経済における産業,所得など,税源の集積の度合いなどを勘案して,地方団体が普遍的に課税を行えるよう,国の法律により,その基本的な枠組みを定めているところでございます。このため,地方団体が財源不足であることをもって,直ちに地方税を増税するということにつきましては,現行制度上予定されていないということでございます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  保健福祉部長神ノ田昌博君。   〔 保健福祉部長 神ノ田昌博君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(神ノ田昌博君)  お答えいたします。 自殺対策に関しまして,2点の御質問をいただきました。 まず,現状等についてでありますが,本県の自殺者は毎年400人前後でありますが,人口当たりの自殺者の数は,全国に比べ低い水準にあります。本県の自殺の原因は,警察庁の調査によりますと,健康問題が約6割と一番多く,次いで,経済・生活問題が約3割,さらには家庭や職場の問題など,多岐にわたっておりまして,複数の原因が絡み合っているケースも多い状況にあります。また,男女別では,男性が約7割を占めておりまして,年齢別では,40歳代から50歳代の中高年が増加傾向にありまして,約4割を占めております。 お話の岩手県のような地域ぐるみの取り組みにつきましては,自殺予防に大変有効であると考えておりますが,本県におきましても,従前からの地域ぐるみの取り組みといたしまして,心の健康づくりについて,研修を受けた愛育委員や民生委員などが,地域での声かけや見守り活動などに積極的に取り組んでいただいているところでありまして,このような本県の取り組みは,全国に誇れるものと考えております。 次に,相談等の充実についてでありますが,県では,相談窓口の相談員等を国が実施する自殺対策相談支援研修等に参加させまして,うつ病に関する基礎知識,自殺者の心理の理解と対応方法,カウンセリング技術,関係機関との連携など,相談員に求められる知識や技術を習得させているところであります。また,この研修の修了者を中心といたしまして職場研修を行うなど,相談員全体の資質の向上を図る取り組みも行っております。 お話の訪問,出前相談につきましては,従前から,保健所におきまして,精神保健福祉相談の一環として,必要に応じて実施しているところでありますが,今後さらに地域自殺対策緊急強化基金を活用いたしまして,自殺の危険性が特に高い人を対象に,精神科医師等の専門職によります訪問相談事業をモデル的に実施する予定としておりまして,こうした取り組みを通じて,相談体制のさらなる充実を図ってまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  教育長門野八洲雄君。   〔 教育長 門野八洲雄君 登壇 〕 ◎教育長(門野八洲雄君)  お答えいたします。 県立高等学校再編整備方針についてでありますが,真庭地域4高校の再編整備につきましては,平成19年8月から検討に着手し,地元関係者の方々の御意見もお聞きしながら,昨年11月に,蒜山高校についての再編整備方針を,本年11月には,落合・久世・勝山高校についての再編整備方針を決定,公表したところであります。 落合高校と久世高校につきましては,このたびの再編整備方針により,平成23年度に両校の募集を停止し,落合高校地に新しい高校を開校するとしましたが,設置する生物生産科及び食品科学科につきましては,当分の間,久世校地を活用することとしているところであります。これは,地域の中学校別の卒業見込み者数の推移や,地域の高校生の通学実態を踏まえて,真庭市全体の高校配置のバランスに配慮するとともに,落合高校のほうが一学年の募集定員が多いこと,ここ数年の欠員の状況が久世高校でより顕著であること,さらに,落合高校には至道高校と再編整備を行った経緯があることなどを考慮して,教育委員会で十分に検討し,総合的に判断したものでありますので,御理解賜りたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  22番吉田政司君。   〔 22番 吉田政司君 登壇 〕 ◆22番(吉田政司君)  いましばらく申しわけありません。 先ほど,協働の問題は,財政的に厳しいという問題と,昨今言われている小さな政府には大きな社会という,こういったことをちょっと無理やりつなぐというような話になってまして,多少無理があるかもしれませんけれども,やはりこれ協働ということは,本当にもう一度しっかりと見直していくべきだということで提案しておりますので,さらに深めていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 それからもう一つは,これ自殺対策についてでありますけども,本当に国もいろいろと今,新しい動きを示して,相談等の充実をしてきておりますけども,岡山県ももう少し具体的なこれからの取り組みというのがもしありましたら,ぜひここでお知らせいただきたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  保健福祉部長神ノ田昌博君。   〔 保健福祉部長 神ノ田昌博君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(神ノ田昌博君)  お答えいたします。 今後の具体的な自殺対策事業についてでございますが,県では,地域自殺対策緊急強化基金を活用いたしまして,自殺対策を充実強化していくこととしております。具体的には,失業,倒産など,自殺につながる悩みに関する相談事業につきまして,法律の専門家と保健の専門家が連携を図りまして取り組む事業のほか,電話相談に対応する人材の育成研修,あるいはテレビ,ラジオのスポット放送による普及,啓発などに取り組んでいくこととしております。 以上でございます。 ○副議長(小田圭一君)  この際,午後1時20分まで休憩いたします。        午後0時18分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時20分再開 ○議長(小田春人君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 1番木下素典君。   〔 1番 木下素典君 登壇 〕 ◆1番(木下素典君)  民主・県民クラブの木下素典です。 12月になり,県北の山々は紅葉も終わり,朝夕はかなりの冷え込みとなりました。私ごとですが,先日,妻がとうとう風邪でダウンしてしまいました。少しだけですが,妻の看病をしていると,苦労をかけているなあとしみじみ思いました。共働きの家庭を風邪が襲うと,とんでもなく大変な目に遭います。新型インフルエンザの流行も気になりますが,季節性のインフルエンザも心配です。どうぞ皆さん,体調にはくれぐれもお気をつけください。 さて,1年を振り返ってみると,ことしの夏は大変暑い夏でございました。県民,国民の多くの皆様のお支え,御支援をいただき,政権交代が県民,国民の皆さんの御判断でなし遂げられました。御声援いただいた多くの方に心からの御礼を申し上げます。政権交代をしてよかったのか,こういう思いがあるのは事実でしょう。しかし,その答えは,歴史が導いてくれるでしょうし,民主党を中心とする新政権により,国も地方も変わっていく,そのドラマチックな変化は,未来を明るくするものだろうと信じています。何より,県民,国民,皆さんの手で,政治に参加した意味を感じていただけること,県民,国民の皆様の手で自分たちの未来をつくりかえることができるというドラマを実感できたことが,何よりのことだと感じています。私たち民主党所属議員は,195万県民の皆様の思いを胸に刻み,民主・県民クラブに所属することを誇りに思い,これからも県民目線での活動をしていく決意を申し上げ,通告に従い一般質問に入ります。執行部の皆さんには,丁寧な御答弁をいただけることを御期待申し上げます。 まず,中国横断自動車道姫路鳥取線,通称姫鳥線の供用開始に伴う安全対策についてお伺いいたします。 この道路は,兵庫県姫路市から岡山県を経由して,鳥取県鳥取市へ至る高速道路で,2009年度の佐用ジャンクションから大原インターチェンジ間,河原インターチェンジ・鳥取インターチェンジ間の開通を目指して,国により新直轄方式で整備が進められていますが,大原インターチェンジ・西粟倉インターチェンジ間は用地買収がおくれており,佐用ジャンクションから鳥取インターチェンジ間の開通は,平成20年代の前半の見込みと聞いております。新直轄方式での建設のため,この区間は基本的に,全区間の通行料金が無料とあって,開通後は隣県からの観光客増加,物流の拠点に期待が寄せられています。 ところが,この道路は,まことに不思議な道路となっています。西粟倉インターチェンジ・智頭インターチェンジ間は,高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路として,志戸坂峠道路が整備されているのですが,実はこの自動車専用道路の中に,一般道路,約2キロほど組み込まれているのです。言葉ではなかなか説明がつきにくいので,きょうは図面を用意しました。今回は特別に議長のお許しをいただきましたので,皆さんのお手元にはカラーのペーパーを配付させていただいております。議長,御高配ありがとうございました。 お手元の資料をごらんください。(パネルを示す。以下パネルにより説明)このトンネルの,これが道路なんですけれども,これが志戸坂峠トンネル付近です。この青いところが県が管理する一般国道で,赤いところが国が管理する国道になっております。黄色いところまでが自動車専用道路なんですが,この自動車専用道は,同一平面上に,同じ一本の道の中に,ここまでが自動車専用道路,同じ道路でその続きで国道になっているんです。だから,この国道には,ここ,お手元のこの写真を見てください。トンネルのすぐ入り口に,車庫があるんです。この車庫は,日中生きておりまして,ふだん出入りがあるんです。ここの道路は一般国道なので,横断できるんです,人が。だから,自動車専用道路を普通のスピードで走ってきて,ジャンクションをおりるわけでもなく,同じ平面上を走っていると,いつの間にか一般国道になって,そのまた先に自動車専用道路につながってるんです。だから,ここは,急に車がとまってバックもするし,おばあちゃんが横断するし,ここに,こっちの上にちょっとお墓があるんですけれども,お盆のときには,こちらの集落の方がお墓参りに,ここをずらずら横断するわけです。ところが,この一般国道,この自動車専用道路には,自動車専用道路のマークはありますが,ここで終わりとは書いていないんです。だから,そのままのスピードで突っ切ってしまうわけですね。このトンネルの南側に,トンネルからわずか10メートルほどのところに車庫があります。この車庫は,日中車の出入りがあり,ドライバーは自動車専用道路を抜けても,一般道路を走るスピードではない速度で移動しています。私が現場を見たときはちょうど工事中で,片側1車線の規制がかかっていましたが,それでも相当な速度で走っていました。現場を案内してくれた西粟倉村の職員さんは,「一応,県にも要望を上げているのですが」と,ばつが悪そうにおっしゃっており,早速関係部署に確認すると,以前は上がっていたが,最近は上がってきていませんとのことでした。 志戸坂トンネルを含む,この区間は,姫鳥線の供用に伴い,交通量がふえることは容易に予想されます。しかも,一般道路であることから,沿道から車の出入りがあるとともに,自転車や歩行者も通行できることになっており,何より,ドライバーにここが一般道路であるという認識をしてもらうために,標識設置などが必要と考えられますが,いかが対応されるおつもりでしょうか,土木部長にお伺いします。 次に,空港津山道路についてお尋ねいたします。 先日の代表質問で,会派の三原議員がただしたように,岡山空港の利用客は年々減少し,取扱貨物量も減り,路線も各航空会社の経営状態にゆだねられ,将来の空港のあり方は全く不透明です。知事の力のこもった答弁も,どうも空元気にしか聞こえません。岡山県では,空港を取り巻く環境整備の中で,平成6年から津山と岡山空港を結ぶ国直轄事業の地域高規格道路として,空港津山道路を進めてきました。岡山県は負担金として,その年にもよりますが,毎年約2億円ほど直轄事業負担金を負担しています。 まず,この全長60キロにも及ぶ,空港津山道路の現在までの事業進捗状況をお示しください。 あわせて,スムーズな事業進捗を図られたと仮定して,完成までにどのくらいの年数がかかるのか,お示しください。 また,道路整備に関しては,一括して新政権のもとで事業仕分けの対象となりましたが,空港津山道路はどのように取り扱っているのか,土木部長にお伺いします。 本来,空港津山道路の建設理由は,長野知事時代に,AP60,IC30の考えに基づくものです。石井知事も議会で,「県北の中心都市である津山市と県都岡山市を連絡するとともに,岡山空港と両都市を直結する極めて重要な路線と位置づけ,毎年度,国への重点提案事項として整備促進を働きかけている」と答弁されています。ところが,計画指定を受けた平成6年から,はや15年がたちました。建設を夢見たころから時代も移り変わり,車社会も交通環境も変わってきました。それでも事業を進めていく姿は,長崎の諫早湾の干拓埋立工事と同様に思えてなりません。 少し紹介すると,現在,津山と岡山を結ぶ大動脈として,国道53号があります。そして,その東には,中部台地農道が先ごろ開通しています。そのさらに東側には,県道26号線から国道374号,484号と続く,通称柵原街道が通っています。国道53号を法定速度で移動すれば,朝の通勤時間帯でも,津山市内から県庁まで約90分,津山市東部から中部台地農道と国道53号を移動すれば,およそ80分。そこへ,さらに岡山市内に続く道路が必要なのでしょうか。環境保全で治山事業,林政事業を進めているのに,山肌を削り,山を貫き,国道53号とおよそ併走するコースのこの道路は,決して必要な道路とは言えないのではないでしょうか。 必要な道路はもちろんあります。救急車等の緊急車両が民家に到着しても,転回する場所がないくらい狭い道路の集落が県北にはたくさんあります。何も山間部に限ったことではありません。岡山市中心部でもそういった古い住宅街はたくさんあります。優先すべき道路とは,やはり生活に密着し,県民の安心と安全を守るための道路ではないでしょうか。地域主権であれ,地方分権であれ,地域が地域の実情に即してインフラ整備をしていくのであれば,空港津山道路のような事業は,時代の推移や将来へのはっきりとした展望がなければ,早々に手を引くべきものだと考えますが,知事の御所見を伺います。 「津山地域の発展に,空港津山道路が絶対に必要か」と問われれば,私は「いいえ」と答えます。津山地域に必要なのは,若者が働くことのできる場所です。県が津山市に押しつけた久米工業団地へ企業を誘致することにもっと力を入れるべきです。今後,高齢者社会が間違いなく訪れるであろうことがはっきりしているなら,自力で車を運転し,移動することを考えるのではなく,公共交通機関の充実を図るべきだと提案します。JRと協働し,津山線の改良に努めるべきではないでしょうか。部分複線にしたり,高速化にしたり,あるいはバス会社等と連携するなどして,津山と岡山を結ぶ交通インフラの整備なら,ほかにも方法はたくさんあるはずです。 ちなみに,滋賀県では,県北の町彦根市と県都大津市の距離関係は,岡山県の津山,岡山市の位置関係に非常によく似ています。県北の津山市は,年々人口が微減しています。職を求め,にぎやかな生活を求めて,若者が岡山市に流出しています。彦根市はというと,年々人口は微増しています。なぜでしょう。特に産業はあるわけでもなく,津山同様の山合いの10万人程度の人口規模です。実は,彦根-大津間の電車の移動は,わずか40分です。電化されている電車だからという理由が大きいと思いますが,わざわざ大津市内に住まなくても,彦根周辺でも十分生活圏になり得るからです。彦根-大津間が40分,彦根-京都間が50分,彦根-大阪間が80分です。もし津山線が,津山-岡山間が四,五十分で移動できるなら,県北の人口は増加に転じるでしょう。そして,地価も上がり,地元経済にも元気が出るのではないかと考えます。 昨年の12月議会では,沿線地元の青野議員が厳しくこのことを追及しています。その答弁で知事は,「JR津山線は地域経済の活性化,通勤通学の足の確保,観光振興を図っていく上からも重要であると認識しているが,不評があることも承知している。一方,南北交通の確保に当たり,津山線はその中核を担うことから,引き続き利便性の向上が必要であると考えている。利用促進に向けた沿線自治体の主体的な取り組みを促すとともに,JR西日本に対して一層の改善を求めていく」と答弁しています。あれから1年がたちました。現在どのような協議をJRさんとしているのか,お知らせください。 また,沿線自治体にどのような主体的取り組みを促してきたのかもお示しください。 さらに,JR津山線の高速化のため,必要とあれば,さらなる投資をしてはいかがでしょうか,あわせてお伺いします。 次に,農業試験場北部支場について,知事並びに農林水産部長にお尋ねいたします。 そもそも試験研究機関の見直しは,今の行革大綱から出てきたものではなく,過去の行革大綱の中にもありましたが,過去の大綱における見直しの視点と今回の見直しの視点はどこがどのように違うのでしょうか,まずお伺いします。 県として,研究テーマを絞り,地域の農業に貢献するねらいを定めるのが本来の目的であるとするならば,お金がないから廃止しますということにはならないのではないでしょうか。農林水産関係の試験研究機関については,施設の場所は変更せず,総務部門などの統合により,平成22年度から集約化を実施するということのみが,昨年の財政構造改革プランの中で決定していたはずです。ところが,10月21日に提出された検討委員会の報告書では,北部支場を廃止し,真庭地域に一部業務を引き継ぐとされ,北部支場に勤務する職員さんにとっては,まさに寝耳に水であり,動揺しています。新聞に北部支場廃止の記事が出てからは,地域にも不安が広がっています。実際,圃場を借りて果実を栽培している方は,せっかく育てた木を処分しなければならないのだろうかと困惑しています。この件に関して,地元地域の方が県に直談判に伺ったとお聞きしています。ただし,このときの内容は,閉鎖はやむなしだが,跡地の有効利用について知恵を出し合うという建設的なものだったとお聞きしています。 今日までの行革の中で,本来なら既に選択と集中をしておかなければならなかったのに,過去の取り組みにおいて,不完全なまま進んでしまった結果が,今回の不安を招いているのではないでしょうか。美作原種圃など,歴史を見ても大きな意味を持ってきた北部支場の果たしてきた役割について,農林水産部長にお伺いします。 11月21日には,津山市長と津山市農林部長,農業試験場北部支場長を交えての住民との意見交換会がありました。出席者から,「このあたりでは,あきたこまち,コシヒカリの試験はできるが,真庭に行けば,あきたこまちしか試験はできない」「種苗の適応性は,農家の近くで行うことで正確なデータが得られる。蒜山では無理だろう」「真庭の実証班では,手狭で十分なことができないのではないか」「あれだけの施設が閉鎖になると,地域はますます元気がなくなる」といった意見が出されています。津山市側からは,ここの試験データや資材が散逸しないよう残してほしいという旨の発言もあったと伺っています。この夏,県北議員団でここを視察したときには,「アジア地域の農業普及のために研修生も受け入れています」と,職員さんが誇らしげに,そして自信を持ってお話しされていたのを思い出します。地元地域の農家の農業振興に長くかかわり,研修生の受け入れもしてきた,この北部支場の研究成果は,県の財産でもあります。この研究成果を今後どのように県下に残し,普及していくおつもりでしょうか。また,北部支場が移転した場合,地域にどのような影響があると考えておられるのか,あわせて農林水産部長にお伺いします。 この場所は,農振地域に指定されているわけですから,北部支場が仮に閉鎖されても,めったやたらに異業種があの跡地に入り込むことはないでしょう。以前は農業法人から購入の打診があったとお聞きしていますが,当時,県はこの話をお断りしています。以前お話のあった農業法人への売却を初め,今後の北部支場の跡地利用についての見通しはいかがでしょうか。 また,今後,地元住民の不安を取り除き,津山市へ理解を求めるために,そして北部支場に勤務する職員さんの動揺を取り除くために,県はどういうスケジュールで,どう対処なさるおつもりでしょうか,あわせてお伺いします。 次に,コンビニを取り巻く環境についてお尋ねいたします。 きょうは傍聴席に,コンビニの関係者に来ていただいております。ありがとうございます。 12月4日の山陽新聞に,県と包括連携協定を結んでいるセブン-イレブンで,障害者が福祉施設で作成した商品,いわゆるセルプ製品の販売が始まるとの記事を見つけました。少しでも障害者の皆さんのためになればという思いから,会派でセルプショップのパンを購入している私たちにとって,また,毎議会ごとに障害者の皆さんを取り巻く環境のことを質問している私にとっても,とてもうれしい記事でした。今は倉敷市内のみの販売ですが,いずれ県下全域のコンビニにこういった地元の商品が並ぶようになればすばらしいなと感じています。障害者の皆さんの手づくり製品を手にとってもらい,作業風景を見てもらい,まずは障害者の皆さんのことを知ってもらうことも大切なことだと感じています。コンビニの商品というのは,本部との厳しいフランチャイズ契約のもとで管理されているであろうものでしょうから,セルプ製品を置いていただくには,県セルプセンターも,県の担当者さんも,相当な御苦労をされたことでしょう。関係者の皆さんに心からの感謝を申し上げたいと思います。県の担当者も,安定的な販路開拓で工賃アップにつなげたいとコメントしています。今後,こういった取り組みを全県に広めていただきたいと思いますが,保健福祉部長の意気込みをお示しください。 この県とセブン-イレブンとの包括連携協定とは,2008年9月に締結されたもので,岡山県が民間企業と初めて結んだ包括連携協定です。その内容は,地産地消並びに岡山県オリジナル商品の販売,キャンペーンの実施に関すること,岡山県の農林水産物,加工品及び工芸品の販売に関すること,健康増進,食育に関すること,高齢者支援に関すること,子供・青少年育成に関すること,観光情報,観光振興に関すること,環境問題対策に関すること,地域の暮らしの安全・安心に関すること,災害対策に関すること,その他地域社会の活性化及び住民サービスの向上に関することの10項目です。この項目を見てもわかるように,コンビニのネットワークを生かして,県民への安心・安全のサービスを補ってくれ,あるいは万が一のときにライフラインのとりでとしての役割を果たす,まさに,あいててよかったのコンビニの強さだと感じています。 何かと便利なコンビニですが,その店内の明るさと比べ,経営はとても厳しいようです。夏以降,話題となりましたセブン-イレブン本部の独占禁止法違反などに象徴されるよう,コンビニオーナーさんの苦労は相当なものだったと感じています。ここでちょっと注意しなければならないのは,こういった包括連携協定は,本部がイメージアップのために取り組んでいるということです。北海道議会でこのことをただした民主党議員によりますと,1999年に起きた東海村JCOの臨界事故では,避難勧告は出て,地域住民が全員避難していたにもかかわらず,避難勧告地域内のコンビニ16店のうち2店舗は営業を続けていたそうです。これには驚きました。岡山県とセブン-イレブンとの包括連携協定は,地元のコンビニオーナーさんの気持ちのよい御了解と,献身的な県勢発展への願いのあかしだと私は信じています。 ところで,コンビニには,収納事務の代行にも御協力いただいています。そこで,県がコンビニに委託している収納事務はどのような事務があり,その収納金額,手数料はどれくらいありますか,出納局長にお伺いします。 もし,あるコンビニが強盗被害に遭った場合,コンビニ商品売り上げ以外で,例えば収入代行での入金分もコンビニが弁済することになると伺いました。最近では,ATMを設置し,現金も多く扱うようになっているわけですから,どうしても強盗被害を受けやすくなってしまいます。24時間営業となっているため,コンビニオーナーさんからは,夜間営業が不安だとの声が多く寄せられています。県内のコンビニにおける強盗の発生状況をお示しください。 あわせて,犯罪の未然防止のためにも,警察による定期的な見回りが必要と感じますが,いかがお考えでしょうか,警察本部長にお伺いします。 以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(小田春人君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  民主・県民クラブの木下議員の質問にお答えいたします。 まず,空港津山道路の必要性についてでありますが,国道53号は,落石や交通事故の危険箇所が多く,加えて,市街地周辺部では渋滞が発生しておりまして,津山市を初めとする沿線市町からは,空港津山道路について,現在の国道53号も活用しつつ,早期整備を望む切実な声が上がってきているところであります。県といたしましても,空港津山道路は,津山市と空港を結ぶ重要路線として,早期整備が必要であると考えておりまして,今後とも,地元市町と連携いたしまして,整備促進を国に働きかけをしてまいりたいと考えております。 次に,JR津山線の高速化等についてでありますが,県では,因美線・津山線近代化促進期成同盟会等と連携いたしまして,JR西日本に対し,安全性や利便性向上について,繰り返し要望を行いますとともに,昨年度からダイヤ改善や所要時間の短縮等につきまして,JR西日本とともに勉強会を開催しております。また,津山線利用を促進する会が作成いたしました啓発ポスターを,JR西日本岡山支社管内のすべての車両等に掲出いたしましたことを初めといたしまして,沿線自治体等に対しまして,周辺の企業や団体等に働きかけることなどの利用促進に向けた取り組みを呼びかけをしております。 高速化のための新たな投資についてのお尋ねがありましたが,御承知のとおり,7年度から8年度にかけて実施いたしました津山線高速化事業に伴う清算事務が19年度に終了したばかりでありまして,また経済環境の厳しい現時点におきましては,県のみならず,沿線自治体,商工団体,JR西日本ともに,新たな負担,このことは困難な状況にあると考えております。当面は,関係者が一丸となって利用の増大に努めて,JR西日本に対し,可能な限りの改善を求めてまいりたいと存じます。 次に,農業試験場北部支場についてであります。 まず,見直しの視点でありますが,これまでの行財政改革大綱では,外部人材の活用や民間等への外部委託,研究テーマの明確化,重点化による組織のスリム化,地方独立行政法人化等を,本県試験研究機関共通の課題といたしまして,機関ごとに検討してきたところであります。一方,今回は,財政構造改革プランに基づき,農林水産関係の6機関について,総務部門等の集約化を課題といたしまして見直すものでありまして,その際,温暖化対策や地域資源の利活用など,中長期的な研究テーマに的確に対応できる研究体制とするため,有識者等から成る委員会を設置いたしまして,検討をいただいたところであります。この委員会の報告で,産学官連携や,知的財産戦略部門の設置に加え,研究テーマの設定において,本場との役割分担が困難となった北部支場は,廃止が適当とされたことを受けまして,現在,その方向で効果的効率的な試験研究体制の構築に向けて検討を行っているところであります。 跡地利用等についてでありますが,現時点では,来年度から集約化する試験研究機関の組織体制について検討している段階でありまして,跡地利用についての具体的な検討には至っておりません。お話の農業法人の件は承知していないところでありますが,支場は農業振興地域内に所在するということから,跡地は引き続き,農地や農業用施設用地として,担い手により活用されることが望ましいものと考えております。いずれにいたしましても,まずは地元津山市の御意見を伺った上で,できるだけ早期に活用方法を決定し,地域の方々にもお示しさせていただきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  保健福祉部長神ノ田昌博君。   〔 保健福祉部長 神ノ田昌博君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(神ノ田昌博君)  お答えいたします。 セルプ製品の普及についてでありますが,障害のある人の工賃水準の向上のためには,製品が広く一般消費者のもとに届くよう,安定的な販路を確保することが効果的であります。このため,県と地域貢献に係る協定を結んでおりますセブン-イレブン・ジャパン社に働きかけを行ったところ,その趣旨を御理解いただきまして,このたび倉敷市内の直営店におきまして,試験的に販売コーナーを設置していただいたところであります。同社では,商品の売れ行き等を見きわめながら,他の店舗への拡大も視野に入れた長期的な展開を考えていただいているということでありまして,県といたしましては,販売拠点の拡大とあわせまして,品ぞろえの充実にも期待しているところであります。今後とも,県セルプ協議会による消費者ニーズに合った商品をタイムリーに提供できる体制づくりを支援するなど,さらなる工賃水準の向上に向けて,積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  農林水産部長大森弘介君。   〔 農林水産部長 大森弘介君 登壇 〕 ◎農林水産部長(大森弘介君)  お答えいたします。 農業試験場北部支場に関し,果たしてきた役割についてでございますが,北部支場は,昭和48年に美作原種圃を統合し,現在地に移転,開設されて以来,養蚕や茶,さらには水稲,大豆や小豆,リンドウなど,県中北部の冷涼な気象条件に適した品種選定,栽培技術の確立等の研究拠点として,大きな役割を果たしてきたと考えております。その後,地域における振興作物の変遷によりまして,第2次行革において,研究テーマの重点化による支場の抜本的見直しを検討したところでありますが,地元の強い要望もあり,規模を縮小して今日に至っております。こうした中,温暖化の進展に伴い,気温差がほとんどなくなった本場との間で,研究テーマの分担が困難となり,支場の廃止が適当との検討委員会の報告もありまして,今回の集約化を機に,廃止を前提として,より効果的効率的な研究体制の構築に向け,具体策を検討しているところであります。 次に,研究成果の普及等についてでありますが,県中北部の農業振興に有用な北部支場の研究成果は,今後とも技術情報としてホームページ等で広く提供するとともに,農業普及指導センターによる農家圃場での実証展示や講習会等を通じ,農家への普及を図ることとしております。また,研究中の課題につきましては,夏イチゴやリンドウの品種育成は,仮称ではありますが,高冷地研究室で,白大豆の品種選定や原種生産等は本場で引き継ぐなど,研究の継続に支障がないよう対応したいと考えております。 なお,地元の産地及び農業者の方々に対しましては,津山農業普及指導センターが引き続ききめ細かな指導を行いまして,地域の農業に影響がないよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  土木部長大塚俊介君。   〔 土木部長 大塚俊介君 登壇 〕 ◎土木部長(大塚俊介君)  お答え申し上げます。 まずは,姫鳥線供用に伴います安全対策についてでございますが,お話の志戸坂トンネルを含む約2キロメートルの区間につきましては,本年度末の姫鳥線供用後の交通量増加により,交通安全面の課題が顕在化してくるものと考えております。このため,当該区間の管理者である国に対しまして,安全対策の実施を要望してきたところでございまして,国では,姫鳥線供用前に,ドライバーに対する注意喚起のための安全対策を実施する予定と聞いております。 次に,空港津山道路の進捗状況等についてでございますが,全線約60キロメートルのうち,約12キロメートルが供用中でありまして,約6キロメートルが津山南道路として事業中でございます。残る区間につきましては,国において,現在の国道53号を活用した整備を含め,路線の検討が進められておりまして,そのうち約7キロメートルにつきましては,調査区間に指定され,より具体的な調査が進められているところでございます。 空港津山道路の完成までの年数についてでございますが,国から事業計画や事業費が未定のため,具体的には示せないとお聞きしてございます。 また,事業仕分けにおいては,具体的な道路の事業箇所の取り扱いについては明らかとなっていないところでございます。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  出納局長野田裕君。   〔 出納局長 野田 裕君 登壇 〕 ◎出納局長(野田裕君)  お答えいたします。 コンビニエンスストアとの連携のうち,収納事務の委託についてでございますが,県民の納税の利便性の確保を図るため,20年度から,自動車税の収納事務をコンビニエンスストアに委託しているところでございます。コンビニでの取扱期間は,現段階では5月1日から6月30日までで,自動車税の定期課税分に限定しております。その収納金額は,20年度は約36億4,600万円,21年度は約41億5,800万円,また手数料でございますが,20年度は約560万円,21年度は約640万円となっております。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  警察本部長江原伸一君。   〔 警察本部長 江原伸一君 登壇 〕 ◎警察本部長(江原伸一君)  木下議員の御質問にお答えいたします。 コンビニエンスストアとの連携等についてのうち,犯罪の未然防止等についてであります。 まず,県内におけるコンビニ対象強盗事件の発生,検挙状況についてでありますけども,昨年は3件発生し,3件とも検挙,本年はこれまで5件発生し,3件検挙しております。特徴といたしましては,これら強盗の多くは,深夜から未明の時間帯に刃物を用いて行われております。また,被害状況は,物的被害として現金等が強取されている事案が多く,人的被害は8件のうち1件で,被害者の指先が切られて負傷するという被害が生じております。なお,この事件は検挙しております。 次に,未然防止対策についてでありますが,県警察では,各店舗に出向いて防犯診断を行い,来店者への声かけ,店内及び店外への防犯カメラの設置等を指導しております。また,平素から,コンビニ店舗には,昼夜を問わず随時,制服警察官やパトカーによる立ち寄り警戒を実施しております。さらに,本年11月からは,緊急雇用創出事業の一環として,警備業者に委託して,青色回転灯装備車両による夜間の街頭パトロール事業を行っておりますが,この中でも,コンビニ店舗への警戒を指示しております。 いずれにいたしましても,県警察では,社会経済情勢が不安定な折から,各種犯罪の増加も危惧されますので,今後ともコンビニ店舗を初めとする深夜営業店に対する防犯指導や,夜間における警戒活動を継続し,犯罪の未然防止に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  1番木下素典君。   〔 1番 木下素典君 登壇 〕 ◆1番(木下素典君)  再質問させていただきます。 空港津山道路について再質問させていただきます。 事業の期間が未定だという答弁が……。あっ,その前にまず,御答弁ありがとうございました。 事業の完成までの期間が未定だという答弁がありました。中部台地農道が二十数キロメートルに及ぶ道路で,これが20年かかっています。60キロに及び,一部53号と共用するとはいえ,恐らく地元でも50年,60年かかるんではないかと言われている道路です。では,60年後,岡山空港がどうなっているかは,だれも今のところ予想ができないんです。(「津山もどうなっとるかわからん」と呼ぶ者あり)もちろんそうです。であるならば,ますます要る理由がなくなるわけですね。こういった事業は,幾ら後年度負担……(「県が管理しとる岡山空港を利用するようにせえ」と呼ぶ者あり)そうであるならば,幾ら国が管理する道路とはいえ,岡山県にそういったものをつくる必要があるのかということを私は問うてるわけです。やっぱり,これは,諫早の干拓工事のようにならないように,できました,でもだれも通りませんでした,では困るわけです。中部台地農道は,どれだけの台数が通っているかというと,恐らく1日50台ぐらいです。そのために,何億円も投資したわけです。やはり,こういう道路は,一度立ちどまって考えるべきだということを強く主張しておきます。 コンビニの収納手数料について御答弁いただきました。ありがとうございました。年々,収入代行の事務を担っていただいているコンビニの皆さんには,たくさんの金額を納めていただくことに協力をいただいております。ところが,手数料が割と低いわけですね。銀行で振り込みをすれば三百数円ほど銀行に入るわけですけれども,実はコンビニの手数料というのは,私の聞いたところ50円か60円だそうです。たくさんのことをやっていただいているけれども,現金をたくさん扱うことによって,そのリスクも増加しているわけです。こういったことは,一つ問題提起として,皆さんにもコンビニの実情を知っていただきたいと思いまして,少し御紹介させていただきました。 北部支場について,地元の方の要望で,前回規模縮小で存続ということをいただいておりましたが,今でも存続の要望はあるわけです。できるなら,丁寧な説明をしていただいて,津山市さんと,そして地元住民の皆さんの誤解,そして不安や不信感を募られないように,しっかり取り組んでいただきたいと思います。 御答弁は,空港津山道路のことをいただきたいですが,私の意見を述べて再質問とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(小田春人君)  7番青野高陽君。   〔 7番 青野高陽君 登壇 〕 ◆7番(青野高陽君)  自民党の青野高陽です。 今回の質問のテーマは,ヌートリアではありません。政策一本です。政策論議のための組織づくりや目標指標,政策提案システムに関連し,創造的な改革ということを意識しつつ,前向きな提案を具体的にさせていただきます。 まず,県庁内の政策論議のための組織づくりについてです。 知事の意思決定には,庁内の幹部会議や各部からの事業提案のほか,東京や大阪などの外部アドバイザーや県内有識者の意見をもとにしたもの,市町村や県民との直接対話を受けてのものなどがあるように思います。これらに対応し,知事のもとでの政策議論を担う担当部署は,政策審議監ということになるのでしょうが,これと同様に,各部長や県民局長のもとにおいても,政策・施策議論が活発に行われるために,政策担当部署を明確にし,職員体制も充実させる必要があると考えます。この政策担当部署の職員を政策企画スタッフと位置づけ,分析力や企画力にすぐれた能力を持つ職員を選び,知事直轄の政策部局との連携を図りながら,部内や県民局内の施策方向をみずから打ち出し,事業内容を各課で検討する場面をリードしてはいかがでしょうか。 この政策企画スタッフは,政策立案に特化した職員で,業務例としては,県民ニーズをくみ上げるため,有識者との情報交換,最新の社会動向や地域情勢の分析,国の政策や他県の先進事例の研究,部内や県民局内での政策方針の策定などが考えられます。県民が県職員に期待していることは,総合的見地や広域的観点からの企画能力や施策実行力であり,政策企画スタッフにはその中心的な役割を果たしていただきたいと思います。 政策担当部署という視点で県庁組織を見ますと,各部の企画調整班や県民局の協働推進室がこれに近いのでしょうが,どうも政策立案機能までは果たしていないようで,例えば現在の美作県民局で,地域関係者と意見を交わしながら,県北経済の発展戦略を描くというようなことができるでしょうか。現在,組織の見直しが行われているようですが,政策県庁の具体化に向けて,各部長や県民局長のもとでの政策・施策論議をする担当部署を明確にするとともに,政策・施策立案に対応できる有能な政策企画スタッフを配置することが重要だと考えます。これに対する知事のお考えをお伺いします。 また,施策や政策を議論する時間を確保するため,まずは行政内部の無駄を見直す必要があるのではないでしょうか。形骸化している会議に要する時間,形式的な内部調査への回答を作成する時間,想定問答や上司のあいさつ,大量の資料作成などが上げられます。例えば,知事が本部長で,各部長が集まるような本部会議がいかに多いことか。県のホームページに写真つきで掲載されていますが,どの会議も同じような写真が使われていることもあり,会議を開くこと自体が目的になっていませんか。 そこで,お尋ねします。 知事をトップとする◎◎本部会議などについて,会議の実施回数重視から成果反映重視へ転換すべきでしょうし,会議を通じ,県民にどんなメリットがあるかを中心に見直してはいかがでしょうか。また,県民局を含む全庁を対象に会議の見直しを行い,会議にかかる時間の無駄を削減するお考えはあるのでしょうか。さらに,その具体的見直し方法はどのようなことをお考えでしょうか,あわせてお伺いします。 さて,岡山県は,今何をなすべきなのでしょうか。抽象的な表現ではなく,端的に何に取り組むべきなのでしょうか。こうした政策の方向が見えてくるものとして,指標について考えてみたいと思います。 指標といえば,知事のマニフェストや新夢づくりプランに取り上げられていますが,例えば,101の指標から見た岡山県という興味深いデータ集があります。これには全国順位も載っており,県が取り組むべき方向のヒントがある感じがします。このデータ集も参考にして考えるに,今後改善すべき指標として,全国平均を下回り続ける人口1人当たりの県民所得あるいは全国ワーストテンのランキングが続く青少年の非行率や不登校の割合などが考えられ,一方,より一層伸ばすべき指標として,医療関係全般の指標と男女の平均寿命,全国第3位の一般廃棄物のリサイクル率,全国1位にも手が届く学校給食地場産物使用割合などがあるように思います。全国数値との比較は,山口県も住み良さ日本一の県民運動の中で採用するなど,他県でも取り上げられています。新夢づくりプランなど,各種計画の目標値は,役所内部で積み上げられた結果の数値が並んでいるケースも多く,その数値の持つ意味が県民に伝わらない場合が数多くあります。県民と認識を共有し,協働で取り組む目標となる主要な指標,つまり県民共有の目標指標については,できるだけ全国的に見た順位を明示していただければと思います。例えば,環境先進県として一般廃棄物(ごみ)のリサイクル率を全国トップに,とか,1人当たりの県民所得を全国平均以上に,というフレーズは,非常にわかりやすく県民の共通認識を得やすいのではないでしょうか。 そこで,お尋ねします。 まず,新夢づくりプランの中で,全国的な比較ができる指標はどのくらいあり,具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。 また,今後,こうした指標については,全国的な位置づけもあわせて県民にPRするとインパクトが強くなり,指標があらわす意味も伝わりやすくなると思いますが,知事のお考えはいかがでしょうか。 さらに,県民と協働で取り組んでいく方向や,全国的な位置づけを高めることも念頭に置いたとき,岡山県が今後改善に力を入れる指標,プラスの面をより一層伸ばすべき指標として,1つから2つずつ程度に絞り込むとすれば,何を上げ,それらについて県民一丸となって取り組むために,どのようなわかりやすい目標を設定されるのでしょうか,あわせて知事のお考えをお尋ねします。 先日,委員会視察で,長崎県や佐賀県,熊本県を訪問した際,全国比較で改善すべき点として,県民所得や人口減少,産業構造などを県の概要説明資料や総合計画で明示し,正面から取り組んでいる姿が,我が県とは対照的な感じを受けました。岡山県で言えば,経済格差の象徴と言える人口1人当たりの県民所得について,もっと問題意識を持つべきではないでしょうか。この数値については,長年全国平均を下回る状態が続き,このことが上位県との経済格差が拡大する要因になっています。全国平均を上回る上位県としては,大都市圏のほか,滋賀県,三重県,栃木県,富山県などがあり,経済状況が変化しても毎年出てくる上位県の顔ぶれは変わることがありません。近年を見ると,中国地方からは広島県が3年連続で上位に位置し,山口県も2年連続で全国平均を超えています。一方,岡山県はというと,平成3年から5年にかけては広島県を上回っていましたが,今は先述の県より常に下位にあり,ここ15年以上,一度も全国平均を上回ったことがありません。さらに,県内でも,南北格差は相当大きなものがあるでしょう。 1人当たりの県民所得が低いのは,岡山県の経済構造に問題があると思われ,私が考える要因としては,高付加価値のサービス業が未発達であること,農家所得が伸びないこと,水島依存の状況が続き,県中北部の事業所が少ないこと,地域経済を牽引する成長企業の誘致,創出が進まないことなどがあるように思います。県民の取り組みによって改善できる数値であるならば,県民所得を全国平均以上にというフレーズが,県民が協働で目指す大きな目標になると考えます。この目標を達成するのは容易なことではなく,人材育成や研究開発を含め,多くの関係者が身近な目標を設定しながら,心を一つにして取り組んでいく必要があります。また,この指標の改善に取り組むことは,暮らしやすさ日本一を目指される知事にとっても,県経済の総合的な発展を図り,県民の豊かさを高める上で欠くことができないものであると感じます。 そこで,知事にお尋ねします。 改善すべき課題に正面から向き合い,効果的な対策を打つためにも,まず要因をしっかりと分析する必要があると思いますが,知事は経済状況にかかわらず,長年にわたって人口1人当たりの岡山県の県民所得が全国平均より低い要因はどのような点にあるとお考えになりますか。そして,この対策として,まずどのような取り組みを行うべきとお考えでしょうか。 さて,企業誘致はまさにほかの自治体との競争,場合によっては海外も含めての大競争,とるかとられるかの勝負の場面でもあります。水島工業地帯の開発に身をささげられた故三木行治知事の話は,以前県議会でも取り上げましたが,最近では,シャープの大型工場誘致で有名な三重県の北川正恭前知事が挙げられます。こうした知事は,のるかそるかの場面で,失敗を恐れずに,体を張って県の売り込みに回ったと言われ,決断力とスピード感にあふれていたとされます。 先日,岡山県が玉島ハーバーアイランドへの誘致を目指していた電気自動車向けリチウムイオン電池工場の誘致に失敗したという報道がありました。県が用意している70億円の補助制度初適用と期待しておりましたが,私はこの失敗を責める気はありません。むしろ,どんどん前向きにこれからもチャレンジをしていっていただきたいと思います。本年度,県内への企業誘致はまだ7件と大変厳しい状況が続いていますが,県経済の将来につながる企業誘致,ここはぜひ初期の段階から知事の力が必要です。 そこで,知事にお尋ねします。 誘致の成功とともに,失敗から学ばれたことはどういったことでしょうか。企業誘致の最前線の現場,企業幹部との直接交渉や厳しいやりとりを通じて,岡山県の持つ,どんな優位性を伸ばし,どんな点にてこ入れしないと実際の誘致につながらないと実感されたのか,企業誘致に向けての課題を,議会や県民と共有し,今後の経済発展をともに図っていくためにも,改善していくべき点など幾つか具体的にお答えください。 また,広く県内の事業所に注目すると,その数は10年前と比較して,工業系で約3割,商業系で約2割減少しており,雇用の場自体が失われる,深刻な事態になっています。企業誘致だけでなく,商業系やサービス系を含めた事業所全体の動向を注視することが重要であり,産業特性や地域特性を踏まえた活性化指針を作成するなど,例えば岡山経済研究所や日本政策投資銀行岡山事務所など,有識者や関係者と早急な対応を図る必要があるのではないでしょうか。地域経済に大きな影響を与える事業所の縮小,廃止を防ぐ活性化対策や,外部からの事業所誘致の方策について,市町村などと連携して,県はどのように取り組んでいかれるのか,産業労働部長にお伺いします。 政策に絞った質問の最後は,岡山ならではの県民参加の政策提案事業化システムです。 県が示した計画の原案に対する県民の意見を聞くパブリックコメントは,計画案の記述の微修正にはつながっても,新たな政策の形成にまで結びつくことが少ないと思われます。また,他県で導入されている県民からの政策提案制度は,テーマを絞らず,どんな内容でもよいから意見を下さいというもので,これでは政策形成につながらず,提案件数もその内容も先細りになります。重要なことは,提案された内容をヒントに,効果的な事業化に結びつけることであり,切迫した重要テーマについて,内容のある意見が豊富に出てくるよう,積極的に働きかけを行う攻めのシステム,他県にはない岡山ならではの政策形成ネットワークを構築すべきだと考えます。 私の考える内容を具体的に説明すれば,1,これから年度末にかけて,政策提案を募る政策課題テーマの絞り込みを行います。これは,知事のトップダウンの意思決定のほか,県民のネット投票などで決定することも考えられます。ちなみに,私なら,成長企業を誘致する,あるいは生み出す効果的な手法と,中山間地域の生活を守る,新たな取り組みの2点をテーマに選びます。 2,次年度になって,政策課題テーマに関連した背景や,県が実施中の関係事業の説明を加えつつ,県民に幅広く政策提案を募ります。これと同時に,関係部局で積極的に意見を聞く専門家やアドバイザーの検討を進め,メールなどで提案を依頼し,あるいは直接訪問して提案内容を聞きます。並行して,県内に集積する各大学へも積極的に働きかけます。 3,一方,6月ごろにかけて,県庁内に事業化に取り組むプロジェクトチームを立ち上げます。このメンバーとしては,先ほど提案した政策企画スタッフが適任です。 4,夏ごろに提案の募集を締め切り,この中から知事が事業化のシーズとなる事業化提案を選び,プロジェクトチームを中心として,提案者と十分調整を行って,効果的な事業内容を集中的に研究し,事業を練り上げていきます。 5,最終的な事業の実施に向けては,間に合えば9月補正で,あるいは次年度の当初予算に特別事業として反映させます。おおむね,こうした流れになります。 このシステムのポイントは4つ。まず,募集する政策課題テーマの選定について,年度ごとに最も重要と判断され,早急な解決策が求められる二,三の具体的な事項に絞ること。2つ目は,提案を募る場面で,一般県民に加え,NPOなどの関係団体,県内に集積する大学の知力,県内外の専門家やアドバイザーなど,可能な限り多くの人の知恵を振り絞ること。企業誘致であれば,160人余りの企業誘致アドバイザーの意見を聞くなど,人脈をフル活用するのです。各地の青空知事室,県職員や議会議員からの提案のほか,シンポジウムの開催も有意義です。3つ目のポイントは,県庁の優秀なプロジェクトチーム職員が調整を行いながら,内容の濃い事業に結びつけること。最後に,これらのプロセスをオープンな形で行い,県民や関係者の関心を喚起すること。この4点になります。 このシステムの導入は,経費を伴うものではなく,県民と協働でつくり上げる政策という最高の協働事例であり,開かれた県政の究極の形でもあります。このシステムが実現すれば,岡山県は政策県庁であると胸を張って言えますし,県民とともに考える課題解決型の組織になったと見直されることになります。何より危機意識を持って本気で考える,何百から何万人の英知を集めることで,困難な課題を打ち破る画期的な施策事業をつくり上げるという大変な成果が得られるのではないでしょうか。ちょうど来年度から,知事直轄の総合政策局が新設されるとのことで,県民視点に立った大きな課題に対応する方向性を打ち出す,こうした内容を業務の中心に据え,対応する職員の体制も充実させるべきではないでしょうか。県庁は,約7,000億円も使いながら何をやっているのかよくわからないと言われてきましたが,こうした制度を導入すれば,県民にも県政が動いている,前に行っていると感じられるのではないでしょうか。 そこで,お尋ねします。 県民生活に直結する喫緊の課題について,県民,関係者,有識者など,幅広い方々との協働のもと,集中的に解決策を研究し,県の持つノウハウを駆使して事業化を図るという,この岡山型の県民政策提案事業化システムについて,早急に研究を進め,ぜひ実現に取りかかっていただきたいと思いますが,知事のお考えはいかがでしょうか。 以上,県行政を政策重視の方向に転換していただく契機となるべく,具体的な提案をさせていただきました。こうしたことを通じて,県民が実感する政策県庁の実現につながることを期待して,私からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(小田春人君)  知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  自由民主党の青野議員の質問にお答えいたします。 まず,担当部署の明確化等についてでありますが,来春の実施を予定しております県庁組織の再編に当たりましては,県民の要請にこたえる政策を推進するために,総合政策局を設置し,新たに設ける政策推進会議において,県の重要政策を決定することを検討しております。この新しい政策決定の仕組みが効果的に機能するためには,各部局や県民局において,直面する課題や県民ニーズを的確に把握し,政策に結びつける能力を高めるとともに,日常業務の中で身近に触れる県民のさまざまな声を体系的に整理し,効果的な施策を立案する機能を強化するということが必要であると考えております。今後,こうした点の具体化に向け,執行体制のあり方を検討いたしますとともに,議員お話の政策を担う職員につきましても,ふさわしい人材の配置に努めてまいりたいと思います。 次に,本部会議等の見直しでありますが,県におきましては,部局横断的な課題に対応するために,私をトップとする24の本部会議等を設置しているところでありますが,会議の開催形式などに課題もあると認識いたしております。このため,組織再編にあわせまして,見直しを検討しているところでありまして,個別課題ごとに設置する現在のあり方を改め,原則として,新たに設置する政策推進会議において,全体調整を図りながら,より効果的に施策を推進するということを考えております。 また,会議の見直しについてでありますが,現在,職員からの提案をもとに,県庁全体の仕事のやり方を見直す中で,例えば,会議資料の事前配付による説明の簡略化などに取り組んでいるところでありまして,今後とも,より効率的で効果的な行政運営に努めることといたしたいと存じます。 次に,県政の目標となる指標についてでありますが,夢づくりプランに掲げる協働指標は110ありまして,そのうち全国的な比較ができる指標といたしましては,NPO法人の認証数や交通事故死者数など,4分の1程度となっております。 また,プランに掲げるどの指標も重要なものでありますが,私といたしましては,その中でも,今現在,全国的に下位にあります県立学校の耐震化率や自主防災組織率などの向上に力を入れていきたいと考えております。一方,全国上位にあります学校給食での県産農林水産物の使用割合や,晴れの国おかやまにふさわしい太陽光発電設備の普及率,電気自動車の導入台数の増加に向けましても,一層取り組みを強化いたしまして,協働指標の目標を達成したいと考えております。 県政の目標を県民の皆様と共有し,その目標に向かって協働の取り組みを進めていくためにも,指標のわかりやすさは重要なことであると考えておりまして,議員お話しいただきました全国順位の明示も含め,毎年度実施しております政策評価や今後の指標の設定などにおきまして,工夫をしてまいりたいと存じます。 次に,人口1人当たりの県民所得についてでありますが,本県経済は,水島コンビナートへの依存度が高く,世界的な市場競争の中で,企業収益が減少するなどの影響によりまして,近年,県民所得は伸び悩んでいるところであります。県民所得の向上を図るためには,県内産業の高度化や高付加価値化,厚みのある産業集積がかぎとなることから,水島コンビナートにつきましては,企業の高収益化に向け,規制緩和に取り組むなど,国際競争力の強化を支援いたしますとともに,県内産業の高度化に向けて,超精密生産技術やバイオ,医療・福祉,環境の分野などを重点に,本県の強みである物づくり技術を生かしながら,新産業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。あわせまして,次世代自動車や新エネルギー関連企業等をターゲットに,戦略的な企業誘致を推進し,厚みのある産業の集積を図ってまいりたいと存じます。 次に,企業誘致に関し,トップセールスについてでありますが,私みずから,企業の意向や条件等を直接お伺いいたしまして,その場で新たな提案を私自身がすることができるなど,スピーディーで,しかも県の熱意を強く訴えることができるトップセールスの意義は大きいと考えておりまして,これまでも精力的に取り組んできたところでございます。 今まで取り組んだことについての具体的なお尋ねでございますが,この企業誘致につきましては,御案内のとおり,相手方がありましてなかなか皆様方に正確に情報をお伝えすることが,難しいところもございますけれども,あえて,ここで今までの体験に基づいてお話しさせていただきますれば,すぐれた交通アクセスや低廉な土地のリース制度などが評価されまして,誘致に成功いたしました情報関連企業の例があります。一方で,地元自治体や電力供給会社と総力を挙げて連携して取り組んだにもかかわらず,まことに残念ながら,技術者の転勤や移動時間等が一番のネックになりまして,誘致に結びつかなかったものもございます。今後とも,このような具体的な事例というものを当然検証しながら,優遇制度の見直しや,企業が立地,操業しやすい環境の整備に努めますとともに,関係自治体や地元経済界と連携いたしまして,地域の総合力を高めながら,私みずからが先頭に立って,企業誘致に引き続き全力で取り組んでまいる所存であります。 最後に,県民政策提案事業化システムについてるる御説明いただき,御提案いただいたところでございますが,これまで県政の推進に当たりましては,私自身,県議会の皆様方からの御意見を尊重することはもちろんのこと,青空知事室等で直接県民の皆様から御提案等をお伺いし,また各部局でも,各種計画の策定や協働事業の実施等において,県民や有識者の方々に幅広く御意見等を伺い,施策,事業に反映するよう努めてきているところであります。多様化複雑化する県民ニーズやグローバルに変動する経済動向に,迅速かつ的確に対応いたしました政策の形成は大変重要と考えておりまして,県議会の皆様方からも,県政全般にわたって,さまざまな御提案をいただいているところでございますが,御提案いただきました提案事業化システムにつきましても,そうしたこととの調整も踏まえながら,幅広く検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○議長(小田春人君)  産業労働部長西本善夫君。   〔 産業労働部長 西本善夫君 登壇 〕 ◎産業労働部長(西本善夫君)  お答え申し上げます。 企業誘致に関しまして,事業所の縮小,廃止等を防ぐ活性化対策等についてでありますが,県では,厳しい経営環境にあります事業者に対しまして,きめ細かな経営相談や資金繰り対策等を実施いたしますとともに,農商工連携の推進や地域資源を活用した新事業の創出,建設業の新分野進出等に対する支援を行っているところでございます。また,地域特性を踏まえながら,市町村と一体となりまして,産業団地や空き工場への企業誘致を進めますとともに,立地企業への徹底したアフターフォローによりまして,地元への定着や新事業展開を働きかけているところでございます。今後とも,市町村や商工団体等と密接な連携を図りながら,このようなきめ細かな支援策を通じまして,地域産業の活性化や雇用の確保に努めてまいりたいと存じます。 答弁は以上でございます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(小田春人君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △12月10日の議事日程 ○議長(小田春人君)  明日の議事日程は,午前10時30分開議で,一般質問であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(小田春人君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後2時29分散会〇 平成21年12月9日(水曜日)出席議員   1番 木下 素典君     2番 一井 暁子君     3番 高原 俊彦君   4番 岡田 幹司君     5番 中塚 周一君     6番 江本 公一君   7番 青野 高陽君     8番 太田 正孝君     9番 谷口 圭三君  10番 池本 敏朗君    11番 小林 健伸君    12番 渡辺 吉幸君  13番 岡本 泰介君    14番 浅野  實君    15番 小倉 弘行君  16番 加藤 浩久君    17番 遠藤 康洋君    18番 横田えつこ君  19番 増川 英一君    20番 森脇 久紀君    21番 赤坂てる子君  22番 吉田 政司君    23番 三原 誠介君    24番 蜂谷 弘美君  25番 神宝 謙一君    26番 西岡 聖貴君    27番 波多 洋治君  28番 久徳 大輔君    30番 蓮岡 靖之君    31番 佐藤 真治君  32番 池田 道孝君    33番 井元乾一郎君    34番 伊藤 文夫君  35番 小田 圭一君    36番 福田 通雅君    37番 長瀬 泰志君  38番 住吉 良久君    39番 山田総一郎君    40番 武田 英夫君  41番 景山 貢明君    42番 高橋 英士君    43番 佐古 信五君  44番 鈴木 一茂君    45番 渡辺 英気君    46番 内山  登君  47番 小野 泰弘君    48番 河本  勉君    49番 岡崎  豊君  50番 小田 春人君    53番 古山 泰生君    54番 天野  学君  55番 三村 峰夫君    56番 千田 博通君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~欠席議員  29番 高橋 戒隆君    58番 戸室 敦雄君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     足羽 憲治         次長       粟根 信行  議事課長     亀山 節子         政務調査室長   岡本 隆嗣  議事課長代理   徳野  浩         議事課長補佐   白神 文雄  議事課主幹    井上 弘志         議事課主幹    雲井 博之           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       石井 正弘君        副知事      古矢 博通君  公営企業管理者  小野 隆夫君        政策審議監    杉山 誠一君  知事室長     貝原 康郎君        総務部長     小川 康則君  総務部次長    佐藤 兼郎君        企画振興部長   平松 卓雄君  生活環境部長   福田 伸子君        保健福祉部長   神ノ田昌博君  産業労働部長   西本 善夫君        農林水産部長   大森 弘介君  土木部長     大塚 俊介君        出納局長     野田  裕君教育委員会  委員長職務代理者 松田 欣也君        教育長      門野八洲雄君  教育次長     新井 和夫君公安委員会  委員       正野 隆士君        警察本部長    江原 伸一君  警務部長     磯  寿生君人事委員会  委員長職務代理者 佐藤  園君        事務局長     神田 益穂君監査委員  代表監査委員   石村 道雄君        事務局長     安富 誠一君選挙管理委員会  委員長職務代理者 長谷川知子君...